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弁護士紹介

井上 雅之
井上 雅之

弁護士

経歴

平成20年3月 早稲田大学法学部卒業
平成22年3月 慶應義塾大学法科大学院卒業
平成22年11月 司法研修所入所(新第64期)
平成23年12月 第二東京弁護士会に弁護士登録
平成23年12月 弁護士法人匠総合法律事務所入所
平成27年7月 仙台弁護士会に弁護士登録

執筆

【著書】
『建築工事請負契約における瑕疵担保責任と損害賠償の範囲』新日本法規(共著)
『耐震化の法律読本 法的リスクを回避するためのQ&A80』建築技術(共著)
『震災復興の法律的課題 岩手県・被災地行政から寄せられた法律相談事例』日刊岩手建設工業新聞社(共著)
『住宅建築業・設計事務所・部材メーカーの説明義務と警告表示』新日本法規(共著)

主な取扱分野

各種民事紛争(特に建築・住宅紛争、契約法)、刑事事件

関心分野

破産法、消費者法、労働法

実績

【相隣関係に関する紛争事件】
太陽光パネルの反射光により、隣地所有者に受忍限度を超える損害を与えたことを理由として損害賠償請求がなされた事案
境界塀を破損したことを理由として、建築禁止等仮処分申請がなされた事案

【売買契約に関する紛争事件】
ハザードマップにおいて、液状化の危険性が指摘されていることを説明しなかったまま不動産を売買したことにつき、債務不履行責任等が請求された事案
売買代金請求訴訟

【設計契約に関する紛争事件】
設計料返還請求事件・設計料請求反訴事件

【請負契約に関する紛争事件】
施主の瑕疵の主張を全面的に認めた原審の判断を覆した事案
タイル剥落を理由とする、法人代表者に対する損害賠償請求事件
追加変更工事代金請求と相手方からの契約違反等を理由とする損害賠償請求
事前に契約書等を取り交わさなかった事案における追加変更工事代金請求及び相手方からの種々の瑕疵及び債務不履行に基づく損害賠償請求
報道によって、賃貸用物件の入居予定者から契約締結を拒まれたとして、施主から施工業者に対し、逸失利益等を請求された事案
屋根材が破損したことによる雨漏りの不安、補修を繰り返したことによる屋根材の耐久性への不安等を理由とする損害賠償請求事件
瑕疵を理由に請負代金の支払を拒絶した施主に対する請負代金請求訴訟
工事の仕様確定を求める調停事件
建築工事に際して隣地を使用したことに関し、隣地の賃借人から使用相当損害金及びアスファルトを破損したことによる損害賠償請求がなされた事案
空き巣に侵入された被害を損害賠償請求された事案
工事に際して隣地所有者の車両・家屋を汚損したことに関し、債務不存在確認の調停を申し立てた事案
建物の配置が図面と異なっているとして、基礎の再施工を請求された事件
隣地に越境して建築物を建築したとして、建替えを請求された事件

【名誉毀損・プライバシー侵害に関する紛争事件】
ブログ上の誹謗中傷記事の発信者情報開示請求

【境界関連紛争】
境界確定訴訟(1)
境界確定訴訟(2)
境界確定訴訟(3)
境界確定訴訟(4)

【相続関係に関する紛争】
不動産に関する所有権確認訴訟

【賃貸借契約に関する紛争】
建物明渡交渉

【家事事件】
夫婦関係調整調停事件
婚姻費用分担調停事件

【交通事故】
損害賠償請求訴訟

【任意整理】
建物老朽化及び収益悪化に伴う個人病院の閉院手続
  • 【太陽光パネルの反射光により、隣地所有者に受忍限度を超える損害を与えたことを理由とする損害賠償請求事件】業者側:控訴審より受任 原判決取消し・控訴審全部勝訴・確定
  • 概要及び原判決の判断:施主Aが施工業者Bに北西側への太陽光パネルの設置を要望し、Bはこれに応じて屋根の北西に太陽光パネルを設置した。
     これに対し、隣地所有者Cらが、太陽光パネルの反射光により、サングラスをかけなければ洗濯物が干せない、裁縫ができないほどに眩しいと主張して、〇楴脾舛紡个掘太陽光パネルの撤去及び損害賠償請求、■造紡个掘損害賠償請求を行った事案である。
     原判決は、〇楴脾舛紡个掘太陽光パネルの撤去及び損害賠償を命じ、■造紡个靴董損害賠償を命じた。
     また、原判決の内容は、証拠等をほとんど精査しておらず、反射光が生じていることそれ自体を違法とするかのような判示であったため、当事務所は、施工業者Bより依頼を受け、控訴審から代理人に就任することとなった。
     なお、施主Aは控訴提起しなかったため、施主Aとの関係では判決が確定した。

    論点:太陽光パネルによって生じた反射光が隣地所有者の受忍限度を超えて損害賠償の対象となるか。

    結論:東京高裁は、「(本件における反射光の)まぶしさの強度は、一般に用いられている屋根材と比べてどの程度強いかは明らかではなく、また、反射光が被控訴人ら建物に差し込む時間は比較的短く、まぶしさを回避する措置を採ることが容易であるということができるのであるから、これらを総合すると、本件パネルの反射光による被控訴人らの被害は、それが受忍限度を超えるものであると直ちに認めることはできない。」と判示し、隣地所有者Cらの家屋に生じている反射光は受忍限度を超えるものではなく、施工業者Bに損害賠償義務はないと結論づけた。
     反射光の発生は、太陽光パネルに限らず、窓ガラスやガルバニウム鋼板等でも生じるものと考えられるが、反射光が発生することそれ自体が当然に違法とされるものではなく、あくまで諸般の事情を総合考慮の上で決せられるということになる。
     本判決の事案では、北西側の太陽光パネルの設置は違法ではないと判断されたものの、あくまで総合考慮による判断であることに留意したい。そのため、本判決が「本件パネルの反射光は、それが相当まぶしく感じられる場合が生じ得るものであるから、その設置に当たっては、北側の隣接家屋である被控訴人ら建物とそこに居住する被控訴人らへの配慮が求められるというべきではある。」と判示するとおり、太陽光パネルを設置する際には、周辺建物への配慮はなお必要であろう。
     もっとも、太陽光パネル設置件数増加に伴い、相談件数が増えている事案に関し、一つの指針を示したものとして参考になると思われる。  
  • 境界塀を破損したことを理由として、建築禁止等仮処分申請がなされた事案】勝訴的和解
  • 本件は、事業者が土地上に分譲のための建築物を建築するに際し、隣地所有者との境界塀の一部を無断で破損したことから、隣地所有者から、建築禁止等仮処分申請がなされた事案である。当方は、事業者側の代理人に就任した。
     隣地所有者の請求内容には、仮処分申請を奇貨として、塀のフルリフォームを請求するかのような請求が含まれていたため、被保全権利、保全の必要性について当方にて反論した結果、裁判所より和解勧告がなされ、結果的に、塀を現状維持のままとし、今後の工事についての紳士協定のみを定める和解内容にて和解した。  
  • 【ハザードマップにおいて、液状化の危険性が指摘されていることを説明しなかったまま不動産を売買したことにつき、債務不履行責任等が請求された事案】売主側:第1審全部勝訴、控訴審全部勝訴・確定
  • 概要:本件は、不動産(土地)の売買契約に関し、当該土地が市の提供するハザードマップ上に「液状化の可能性が極めて高い」と表記されていたことから、買主が売主及び仲介業者について、債務不履行責任等を主張した事案である。当方は、売主側の代理人に就任した。
     なお、当該ハザードマップは、インターネット上で誰でも閲覧が可能である。

    論点:本件の論点は多岐にわたるところ、原告の主張の概要は次のとおりである。
     ’篌腓猟敢裟睫正遡外稟燭鰺由とする債務不履行解除
     ∇赱喘簡歙嫻い亡陲鼎契約解除
     錯誤無効
     せ情変更法理による契約解除
     ス霖竜遡外稟慎擇喟睫正遡外稟燭砲茲詆塰々坩拈嫻

    結論:まず、原告は、当初、本件土地に液状化の危険があるという主張をしていたため、当方において、売主側代理人として、土地自体が「現実に」液状化等の危険があることの立証を強く求め、本件土地は、ハザードマップに記載されているものの、客観的性能に問題はないという点を強調した。相手方は、当方の主張を受けて、現実に土地自体に液状化の危険があるか否かは主張しないこととし、あくまでも「土地の客観的性能とは無関係に、ハザードマップに記載されている事実」のみをもって上記各論点の主張をするとした。
     当方は、ハザードマップの正確性や本件土地がメッシュの切れ目に近い区域であることを強調したところ、原審は「本件マップの客観的正確性には限界があり、とりわけ本件土地に関する本件マップの客観的正確性には限界があると言わざるを得ない」とした上で「本件マップにおいて、南関東地震が発生した際、本件土地は液状化の危険性が極めて高いと記載されていることは、購入希望者に重大な不利益をもたらすおそれがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される事項に当たるということはできない」と判示した。また、控訴審では、上記判断からさらに踏み込み、「本件土地について液状化の可能性が高いかどうかは不明というほかなく、本件マップの客観的正確性を前提として当事者の法的な義務又は責任の有無を論ずることは、失当である」とまで判示し、本件土地について、ハザードマップの記載が正確であることを前提とした原告の主張について「失当」と断じている。
     上記事情を前提に、原審・控訴審ともに、売主にはハザードマップの有無、内容等について告知義務及び説明義務を負わないと判断し、その他の主張についても全てを排斥した。
     なお、仲介業者に対する請求も否定されている。  
  • 【設計料返還請求事件・設計料請求反訴事件】第1審全部勝訴・控訴審全部勝訴(確定)
  • 概要:本件は、設計契約の委託者(原告)が設計者(被告)に対し、主位的に被告の設計・管理契約に基づき債務不履行を理由とする解除に基づく原状回復請求、予備的に同契約の取消し・錯誤無効を理由とする不当利得返還請求として既払金等の返還を求めた事案である。
     本事案では、原告が被告に対して提示した資料に誤りがあったため、被告において設計業務を結果的に2回実施しているところ、2回目の設計契約については、明確に契約書等を取り交わしていない状況であった。
     そこで、当方は、設計者(被告)側の代理人として就任し、第1回目の設計契約に関し、設計契約に基づく残報酬請求を、第2回目の設計契約に関し、商法512条に基づく報酬請求の支払を求める反訴を提起した。
     
    論点:“鏐陲虜通撹塒行の有無
       被告の報酬請求権について

    結論:論点,亡悗掘当方は、それまでに作成された膨大な資料を全て証拠として提出し、設計業務が全て終了していることを強調して主張したところ、裁判所は、当方の主張を容れ、第1回目及び第2回目とも設計業務は完了していると認定した。その上で、結果的に第2回目の設計業務が必要になったのは、原告の提示した資料に誤りがあったことを認定し、被告の設計業務に債務不履行はないと判断した。
     次に、論点△亡悗掘∈通撹塒行がない以上、第1回目の設計契約に基づく残報酬請求は認められるとした。
     第2回目の設計契約に基づく報酬請求に関し、当方は、告示第15号をもとに報酬金額を算定し、主張していたところ、裁判所は、同告示の適用を明示してはいないものの、当方が算定した全額について「本件第2回確認申請業務の相当報酬額は被告が主張する額を下らない」と認定した。
     なお、同判決は、高裁においても維持され、確定した。
     
  • 【施主の瑕疵の主張を全面的に認めた原審の判断を覆した事案】業者側:控訴審より受任 原判決変更・控訴審一部勝訴・確定
  • 概要:本件は、事業者が、施主との間の請負契約に基づき建物を完成させ、建物を引き渡したにもかかわらず、施主が種々の瑕疵を主張して請負代金の支払をしなかった事案である。
     原判決は、施主の瑕疵の主張について、瑕疵該当性及び補修費用について、そのまま認容し、請負代金額の大部分が相殺されてしまったため、当事務所は、施工業者より依頼を受け、控訴審から代理人に就任することとなった。
     主な瑕疵としては、仝軸悒疋△慮き、▲好螢奪兌納棚の施工方法、車庫の施工である。
     
    論点:〇楴腓亮臘イ垢覲奈赱咾類赱啌催性
        ∩蠹な補修方法・報酬費用の検討

    結論:まず、仝軸悒疋△慮きについて、設計図書では左開きとなっていたところ、実際は右開きのドアが設置されている状況であったが、控訴審は、「玄関ドアについては設計図書は左開きとされており,控訴人も当初設計図書どおりの左開きのドアの設置を予定していたが,玄関内のスリッパ収納棚を壁面に埋め込む形で設置することができず,せり出す形になることとなったため,被控訴人の要望ないし指示に基づき,ドアを右開きに変更したものであることが認められる。」、「玄関ドアを設計図書どおりに設置すること自体は本来何ら不都合はなく,控訴人においてあえて設計図書と異なる施工をする理由はない」、「控訴人が被控訴人らの要望ないし同意なしに設計図書と異なる施工を行うことは考えにくい」と判示して、瑕疵該当性を否定した。
     次に、▲好螢奪兌納棚の施工方法について、被告は、壁面埋め込み式を主張し、原審の証人尋問においても、施主から埋め込み式にするよう依頼された旨の関係者の証言がなされていたが、控訴審は、「スリッパ収納棚を設計段階において壁に完全に埋め込むことについて,設計担当者と被控訴人らとの間で合意があったか否か定かではないものの,施工段階において,設計図書上,壁に埋め込むものとして指示されておらず,その後埋め込むことが合意されたとしても,上記スリッパ収納棚を被控訴人らの指定する壁に完全に埋め込むことは不可能なのであるから,この結果について,少なくとも施工業者である控訴人が責任を負うべきものとは認められない」と判示して、瑕疵該当性を否定した。なお、被告の主張のとおり、スリッパ収納棚を埋め込み式にした場合、当該スリッパ収納棚がエレベーター昇降路内に迫り出す形となる状況であり、もとより不可能な施工方法であった。
     そして、車庫の段差については、原審は、被告主張の補修費用を満額肯定したが、控訴審は、被告主張の補修費用・補修方法は過大であるとし、原告が相当な補修費用と主張する額に近い額が認定された。
     
  • 【タイル剥落を理由とする、法人代表者に対する損害賠償請求事件】第一審全部勝訴・確定
  • 概要:本事案は、個人である被告が代表取締役を務めていた会社から、建売住宅を購入した原告が、住宅の外壁タイルが剥がれるなどして補修費用相当額の損害が生じたとして、清算人の任務懈怠に基づく損害賠償請求(原告が訴訟を提起した時点で、被告が代表取締役を務めていた会社は清算結了していた)、不法行為責任に基づく損害賠償請求をした事案である。
     
    論点:\胸賛佑稜ぬ学菎佞亡陲鼎損害賠償請求
        不法行為に基づく損害賠償請求

    結論:論点,亡悗掘原告は、清算人たる被告において、原告が清算会社に対する損害賠償請求権を有する債権者であることを知っていたと主張し、これを前提として、被告が原告に対して債権の申出の催告を行わなかったことは清算人の任務懈怠であるなどと主張したが、裁判所は、被告において、原告がいかなる内容の損害賠償請求権を有しているかを認識することはできない旨判示し、原告は、「知れている債権者」(会社法499条1項)に該当しないとした。
     次に、論点△亡悗掘原告は、タイル剥落が基本的安全性を欠く瑕疵であるとして、代表者である被告に対する不法行為を主張したが、裁判所は、瑕疵については判断することなく、代表者個人である被告について、施工に瑕疵があることを認識することはできなかったとして、故意・過失の点で不法行為責任を否定した。
     
  • 【追加変更工事代金請求及び相手方からの契約違反等を理由とする損害賠償請求】控訴審勝訴・確定
  • 概要:本事案は、施工業者にて、施主の指示で現場にて多数の追加変更工事を実施したものの、施主において、本工事代金分のみしか支払わず、追加変更工事代金の支払をしなかったため、施工業者において、追加変更工事代金相当額の支払請求をした事案である。ただし、追加変更工事については、事前に契約書等を取り交わしておらず、見積書の事前提示についても当事者双方で激しく意見が対立していた。
     結論:当方は、契約締結後の図面を全て提出し、当初契約からどの部分がどのように変更となったのかという点について緻密な立証を行い、追加変更工事代金についても、下請からの請求書をもとに、相当な対価である旨を主張した。
     結果的に、控訴審は、追加変更工事の一部について、「契約書等が作成されたことを認めるに足りる証拠はない」としながらも、各工事の内容を検討の上、「本件において、〔施工業者〕に、その余の追加変更工事を自ら出費して行わなければならない理由があったことを認めるに足りる証拠はない」として、追加変更工事について「〔施主〕の強い希望によって実施された工事か、あるいは〔施主〕の不手際により発生した(中略)工事ということができ、〔施工業者〕と〔施主〕との間で(中略)工事代金を〔施主〕の負担とする旨の追加変更工事の合意が成立したと認めるのが相当」と判示した。
     個別に追加変更工事の契約書を作成していない場合でも、追加変更工事代金請求を認めた一事例として参考となる。
     
  • 【事前に契約書等を取り交わさなかった事案における追加変更工事代金請求及び相手方からの種々の瑕疵に基づく損害賠償請求等】第一審勝訴・控訴審継続中
  • 概要:本事案は、施主から、施工業者に対し、ヾ払の工事のうち、使用変更等による減額があるとして不当利得返還請求、工事の履行遅滞による違約金請求、瑕疵担保責任による損害賠償請求がなされ、当方において、反訴として、追加変更工事代金請求をしたものである。
     なお、本事案においては、新築工事ではなく、増改築工事であり、かつ、追加変更工事の合意の際に、契約書や見積書などの書面の作成は行っていない状況であった。
     結論:まず、裁判所は、施主の不当利得返還請求については、使用変更による代金の減額はないとこれを排斥し、違約金請求についても、引渡の遅滞は、施主の追加変更要望に起因するものとして、請求を排斥した。また、瑕疵については、争点は多数に及ぶところ、代表的なものを例示すれば、柱の傾き(最大1000分の5)に関し、増改築工事であることを考慮して瑕疵該当性を否定し、設計図書と施工が異なる部分については、「合意に沿わない施工が直ちに瑕疵になるとは解されず、その違反の程度も考慮して瑕疵に当たるかを判断すべき」とし、施主の瑕疵の請求を全て排斥した。
     一方、当方の追加変更工事代金請求については、「〔当初の〕仕様書及び最終図面に記載の工事を本工事とし、原告の依頼により本工事に追加され、ないし本工事の内容を変更したと認められる工事については、工事により減額となる場合や、追加変更を無償で行う合意がなされたなどの特段の事情がない限り、相当額を報酬として支払う旨の黙示の合意があったものと認めるのが相当である」とし、追加変更内容を一つずつ検討し、当方の9割以上の請求には理由があると判断した。
     事前に契約書及び見積書を提示していない場合であっても、追加変更となった工事内容を特定できる場合には、相当額の費用を請求できる事案として参考となる。
     
  • 【報道によって、賃貸用物件の入居予定者から契約締結を拒まれたとして、施主から施工業者に対し、逸失利益等を請求された事案】第一審全部勝訴・確定
  • 概要:本事案は、施工業者に建築の注文をした施主が、建築した建物の1階部分を賃貸しようとしたところ、施工業者の施工した建物(訴訟で問題となった建物とは無関係の建物)に耐火性能が不測しているものがあるとの報道がされたために、本件建物の賃借を申し込んだ者からその申込を撤回されたことを理由に、不法行為に基づき逸失賃料等について損害賠償請求訴訟を提起された事案である。
     
    論点:施工業者の不法行為の成否

    結論:施工業者の施工した物件の一部に耐火性能が不足しているものがあるとの報道がなされたことは当事者間に争いがなく、争点は、風評被害類似の損害が施主に生じているか否かとなった。
     当方は、)楫鏃物自体については瑕疵がない以上、本件建物と無関係の建築物について、違反行為を行い、その結果報道がなされたとしても、原告との関係では違法行為を何ら構成しない、賃借人が申込を撤回したのは、賃借人独自の極めて特異な心理状態に起因するものであって、本件建物について違法建築物であるという風評は生じていない、A蠹因果関係がない等の主張をしたところ、裁判所は、当方の主張を全面的に採用した。
     準耐火建築物に関し、多くの物件・企業が報道対象となったことについては記憶に新しいところである。しかし、ある事業者が報道されたという事実のみをもって、当該事業者が建築した瑕疵のない建物に関してまで、逸失利益等を請求することは許されない。  
  • 【屋根材が破損したことによる雨漏りの不安、補修を繰り返したことによる屋根材の耐久性への不安等を理由とする損害賠償請求事件】業者側、第一審全部勝訴・確定
  • 概要:本件は、屋根材が大量にひび割れ、8年間に7回もの張替えが行われた事案で、原告は、屋根材が割れたことにより雨漏りの危険性が高まり、かつ、屋根自体の耐久性も低下したなどと主張して、債務不履行責任、瑕疵担保責任、不法行為責任等に基づき、損害賠償請求を行った。
     
    論点:慰謝料請求の可否

    結論:屋根材が割れたことや何度か張替え工事を実施したこと等の事実には争いがなく、当該行為について不法行為が成立するか否かが争点となった。
     当方は、既に屋根が補修されていることを強く指摘し、業者側の対応に問題がなかったこと等を主張した。
     基本的に、財産的損害については、当該財産の補修がなされれば、損害は治癒したものと判断され、重ねて慰謝料を認めるのであれば、請求者が利得することになるから許されない。
     慰謝料が認められるのは、補修だけでは足りない特段の事情がある場合に限られるが、本件では特段の事情はないものとして、原告の請求を退けている。
    近年、慰謝料という言葉はよく聞くようになったが、あくまでも認められるのは例外的場面であって、基本は認められないという点については留意しておくべきであろう。  
  • 【瑕疵を理由に請負代金の支払を拒絶した施主に対する請負代金請求事件】業者側:第一審全部勝訴、控訴審全部勝訴・確定
  • 工事が完成しているにもかかわらず、施主が瑕疵等を主張して請負代金の支払を拒絶したため、請負代金請求訴訟を提起することとなった。
     施主は、種々の瑕疵を主張してきたものの、その一つ一つについて、施工上問題ない点を指摘した結果、最終的には当方の請求が全額認容されることとなった。
  • 【工事の仕様確定を求める調停事件】調停成立・勝訴的和解
  •  請負契約締結後、施主より、建築確認申請をやり直さなければならないほど根本的な追加変更要望が相次いた事案につき、仕様確定を求めて調停を申し立てた。
     当初、施工業者は、契約解除を要望していたものの、本件では、施主に債務不履行がなく、また、約款上、施工業者からの解除を認めるべき事由にも該当すべきものがなく、法的に解除事由を構成することは困難であった。そこで、仕様確定を求めつつ、確定できない場合には、合意による解除を念頭に調停手続に臨んだ。
     大量の打合せメモや作成した図面を提出し、追加変更要望の状況を詳細に説明するとともに、契約の続行が困難であることを調停委員に強く訴え、最終的には、出来高全額の精算及び請負契約の解除という、当方の主張が全面的に肯定される形で調停が成立した。
     請負業者側から契約を解除するのは困難であり、債務不履行とまでは言えないが、契約継続が難しいと思われる顧客との間では、合意解除を求めて調停を申し立てるのも一つの方策であり、調停事案ではあるが参考になるため掲載することとする。  
  • 【建築工事に際して隣地を使用したことに関し、隣地の賃借人から使用相当損害金及びアスファルトを破損したことによる損害賠償請求がなされた事案】事業者側:勝訴的和解
  •  建物を建築するにあたって、施工業者が隣地(駐車場)を使用していたところ、隣地の賃借人から、使用を許諾していないなどとして、施工業者に対し、使用相当損害金の請求とともに、建築に使用した重機によってアスファルトが破損したなどとして、アスファルトの再舗装にかかる費用を損害賠償された事案である。
     本件では、工事開始前から、ある程度アスファルトに影響を与える可能性があったことは確認されており、施工業者と施主との間では、請負代金額に隣地に対して一定額の補修費用を支払うことを前提として見積書が作成されていたため、交渉段階においては、同額の支払を限度に協議が実施されたが、相手方が金額面に納得しなかったため、訴訟が提起されることとなった。
     当職は、因果関係の点について徹底的に争い、どの傷が、いつ、どのように付着したものかについて相手方に詳細な立証を求めるとともに、使用相当損害金についても、隣地使用については、明示ないしは黙示の合意があったことを強く主張した。
     最終的に証人尋問が実施されたが、尋問を経て、裁判所は、相手方において因果関係を立証するのは困難と判断した結果、和解勧告がなされた。
     そして、上記のとおり、施主との間で隣地に対して一定額の補修費用を支払うことを前提に請負契約を締結していたことから、当初から支払を予定していた金額を解決金として支払うことで双方納得の上、合意した。  
  • 【空き巣に侵入された被害を損害賠償請求された事案】業者側:第一審全部勝訴、控訴審全部勝訴・確定
  •  本事案は、施主が、その自宅を建築した建築業者に対し、転居後、自宅1階に面格子を取り付けるとともに窃盗防止対策を講じるように依頼したにもかかわらず、建築業者がこれを怠り、空巣被害にあったとして、請負契約ないし準委任契約に基づく善管注意義務違反、または契約締結上の過失等を理由に損害賠償請求を求めた事案である。
     裁判所は、面格子に関する打合せの経緯や、見積書や契約書等の客観的資料の不存在等、事実関係を精査の上、原告主張の契約は成立していないと認定の上、建築業者が本件建物に面格子を設置しなかったことが信義則違反と評価される帰責性も認めることができないとして、契約締結上の過失も否定した。  
  • 【工事に際して隣地所有者の車両・家屋を汚損したことに関し、債務不存在確認の調停を申し立てた事案】調停成立・勝訴的和解
  •  隣地所有者より、施工時に飛散した外壁の洗浄剤・塗料等が車両・家屋に付着したことを理由に損害賠償を求められていた事案に関し、損害賠償義務はないとして調停を申し立てた事案である。
     当職は、因果関係がない旨を主張するとともに、仮に、因果関係があるとしても、相手方の請求額は過大に過ぎ、高額な賠償には応じられない旨を主張した。
     もっとも、本件では、建築した建物に住む施主と隣地所有者との今後の関係にも配慮しなければならなかった。また、隣地境界との距離から、目隠しを設置する必要があったところ、当該目隠しを設置するためには、隣地に立ち入らざるを得ず、円滑に工事を実施するためには、隣地所有者から承諾を得る必要があるという中で、関係性を破綻させることはできない状況にあった。
     最終的には、当方の主張する金額をベースに解決金の支払うこと、目隠しの設置のため隣地所有者の敷地内に立ち入ることに異議を述べない旨の内容で合意が成立した。  
  • 【ブログ上の誹謗中傷記事の発信者情報開示請求】仮処分、第一審勝訴・確定
  •  施工業者の施工に不満を持っていると考えられる施主が、施工業者及びその従業員を誹謗中傷する旨のブログを立ち上げたところ、当職らは、施工業者の代理人として、ブロバイダに対して、当該ブログの発信者情報開示請求をした。
     近時、インターネット上の掲示板等で、施主が施工業者を誹謗中傷するケースが散見されるが、ブログ等は匿名で作成されていることが通常であることから、発信者の特定が困難である場合が多い。そのような場合には、発信者情報開示請求をして、発信者を特定する必要がある。
     本件は、ブログの作成者に対して、今後、損害賠償請求する可能性を加味して、発信者情報の開示をプロバイダに求めた事案である。  
  • 【境界確定訴訟(1)】第一審勝訴・確定
  • 概要:山林の開発許可を受けるに辺り、山林の分筆が必要となったが、隣地所有者が破産終結後清算未結了の法人であり、代表者が不在であることから、境界確認書を締結できず、登記官より境界確定判決がないと分筆は認めないと指示されたため、境界確定訴訟を提起した。
     隣地所有者は代表者不在であるため、特別代理人を選任して訴訟を提起したところ、同特別代理人は、訴訟において、当方の主張する境界線を争うものではないから(なお、境界確定訴訟には自白や請求認諾といった概念がない)、当方には訴えの利益がなく、本訴訟は却下されるべきであると主張した。

    論点:当方が主張した境界線につき、相手方が「争わない」との答弁をした場合に、訴えの利益が肯定されるか。

    結論:当方は、‘段迷緲人が境界を争わない旨答弁したとしても、特別代理人は、あくまで訴訟という限度でのみ代理権限を与えられているのみであり、事実上の代理権限はないこと、判決にて境界が確定されない場合、本件土地は分筆することもできず、土地として利用価値がなくなることを主張し、境界確定の必要性を主張した。
     裁判所は、当方の主張を全面的に採用し、たとえ境界線に争いがなくとも、本訴が特別代理人による訴訟追行であるという特殊性及び分筆の必要性から、訴えの利益を肯定した。  
  • 【境界確定訴訟(2)】第一審勝訴・確定
  •  隣地所有者の相続人8名を相手方とする境界確定訴訟。
     境界確定訴訟は、必要的共同訴訟であり、相続人が居る場合には、相続人全員が相手方となる。   
  • 【境界確定訴訟(3)】第一審勝訴・確定
  •  隣地所有者を相手方とする境界確定訴訟。  
  • 【境界確定訴訟(4)】第一審勝訴・確定
  •  本事案は、登記簿上の隣地所有者が明治時代のものから変更されておらず、総勢64名もの相続人が存在していた事案である。
     境界確定訴訟は、必要的共同訴訟であり、相続人が居る場合には、相続人全員を被告として訴訟提起しなければならない。
     当初、任意の交渉を検討したものの、連絡が取れない相続人や、そもそも権利者であることを覚知していない相続人が大多数であり、交渉により境界確認書を得ることが不可能であったため、裁判所に訴訟提起し、境界の確定を求めることとなった。
     行方が分からない相続人もおり、公示送達や付郵便送達などを活用して送達手続に約6か月もの期間を要したものの、無事、境界を確定することができた。
     分筆や開発許可に際しては、隣地所有者の同意を得る必要があるところ、本件のように、相続人が多数に及んでいる土地も相当程度存在するものと考えられ、土地の円滑な活用を阻害する原因となっている。  

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