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弁護士紹介

永瀬 英一郎
永瀬 英一郎

弁護士

経歴

慶應義塾大学法学部法律学科卒業
司法研修所入所(58期)
平成17年10月 第二東京弁護士会に弁護士登録
平成17年10月 匠総合法律事務所入所
第二東京弁護士会住宅紛争審査会紛争処理委員

執筆

【著書】
『建築工事請負契約における瑕疵担保責任と損害賠償の範囲』新日本法規(共著)
『耐震化の法律読本 法的リスクを回避するためのQ&A80』建築技術(共著)
『震災復興の法律的課題 岩手県・被災地行政から寄せられた法律相談事例』日刊岩手建設工業新聞社(共著)
『絶対トクする[土地・建物]の相続・税金・法律ガイド』建築知識(共著)
『住宅建築業・設計事務所・部材メーカーの説明義務と警告表示』新日本法規(共著)
『建築・法律トラブルらくらく回避マニュアル』建築知識(共著)
『建築設計・施工クレーム対応マニュアル』新日本法規(共著)

主な取扱分野

建築紛争、不動産取引、借地借家、相隣関係、倒産関係(破産、民事再生、任意整理、破産管財人)、債権回収、親族・相続、その他一般民事、刑事

契約法務取扱実績

請負契約書、FC契約書、売買契約書、業務委託契約書、展示場出展契約書、賃貸借契約書、債権譲渡契約書等

訴訟交渉の主な実績

【建築関連紛争】
140個にも及ぶ瑕疵の主張がなされた請負代金等請求事件
リフォーム会社が瑕疵担保責任の不存在の確認を求めた債務不存在確認請求事件
建売住宅の売買における買主からの契約解除及び損害賠償請求事件
施主からの瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求事件
木材が割れたら瑕疵であるかが争われた損害賠償請求事件
木材の保管に関する管理・指導の合意があったことを理由とする建材業者に対する損害賠償請求事件
建物建て替え相当額の損害賠償請求の反訴が提起された請負代金請求事件
請負契約における追加変更工事代金請求事件
出来高、瑕疵の存在等が争われた請負代金請求事件
下請業者の元請業者に対する請負代金請求事件
リフォーム工事における代金回収事件
擁壁沈下に関する損害賠償請求事件
基礎の瑕疵を理由として建物の取壊再築費用相当額の賠償請求がなされた損害賠償請求事件


【不動産売買・仲介・賃貸借に関する事件】
専任媒介契約書が存在しなかった場合における媒介報酬金請求事件
住宅会社が土地を購入したところ、媒介行為を行ったにもかかわらず売買契約から排除されたと主張する不動産会社から媒介報酬を請求された事件
土地・建物の明渡しに関する交渉・訴訟
未払賃料請求事件


【相隣関係紛争】
私道通行の妨害に関する仮処分
隣地境界との離隔距離(民法234条)に関する仮処分
目隠し設置(民法235条)に関する仮処分
工事車両の通行妨害に対する通行妨害禁止仮処分事件


【名誉毀損】
名誉毀損に基づく損害賠償請求事件


【親族・相続】
遺産分割交渉、遺産分割調停
離婚交渉、離婚調停、離婚訴訟
遺贈がなされたとの理由に基づく所有権移転登記請求事件


【その他】
債権譲渡と債権仮差押えの優劣が問題となった取立債権請求事件
化学物質過敏症に罹患したことを理由とする損害賠償請求事件

倒産関係

【破産】
破産申立て(法人及び個人)
債権者代理人として破産管財人との交渉、債権届出書の作成、債権者集会への出席等
破産管財人(法人及び個人)


【民事再生】(いずれも再生債務者申立代理人として関与)
東京地方裁判所平成21年(再)第24号
債権者総数約60名、負債総額約5億4000万円
平成21年1月29日 申立代理人として民事再生手続開始申立
平成21年6月30日 再生計画認可決定
東京地方裁判所平成21年(再)第50号
債権者総数約90名、負債総額約13億円
平成21年2月18日 申立代理人として民事再生手続開始申立
平成21年7月14日 再生計画認可決定
東京地方裁判所平成21年(再)第58号
債権者総数約100名、負債総額約4億8000万円
平成21年2月25日 申立代理人として民事再生手続開始申立
平成21年7月14日 再生計画認可決定
東京地方裁判所平成21年(再)第196号
債権者総数約164名、負債総額約10億5000万円
平成21年7月14日 申立代理人として民事再生手続開始申立
平成22年3月9日  再生計画認可決定
東京地方裁判所平成21年(再)第260号
債権者総数約653名、負債総額約40億円
平成21年11月18日 申立代理人として民事再生手続開始申立
平成22年6月2日   再生計画認可決定


【任意整理】
法人及び個人を代理して債権者(金融機関等)との交渉、弁済計画の作成等


【その他】
動産売買先取特権の物上代位に基づく債権差押え


【刑事】
被疑者・被告人の弁護活動(私選、国選)、告訴の申立て等
実績:不起訴処分、保釈決定、執行猶予獲得等

【140個にも及ぶ瑕疵の主張がなされた請負代金等請求事件】第一審調停成立(原告設計事務所・工務店側代理人)

1.
 本件は、工務店において、隣接地に住宅2棟の新築工事を行ったにもかかわらず、施主より、設計料及び請負工事残代金合計約2200万円が支払われなかったことから、設計事務所・工務店において、その支払を求めて提訴したのに対し、施主から、本件各建物に合計140を超える瑕疵が存在するとの反論がなされた事案である。
2.
 本件訴訟は、調停手続に付された後、建築専門家調停委員の関与の下、施主が主張する瑕疵の有無を中心に審理がなされた。
施主側の瑕疵の主張のうち主要なものは、本件建物が3階建であるにもかかわらず、2階建の構造計算しかしておらず、壁量が不足すること、柱・筋交い等の寸法が設計図面と異なること、床面の面剛性が不足すること等であり、施主側は、構造計算を行うなどして瑕疵を立証しようと試みてきた。
これに対し設計事務所・工務店側は、施主側の構造計算の誤りを指摘した上で、構造設計の専門家に構造計算を依頼し、構造計算書を提出するなどして、本件建物は構造上安全であるとの立証活動を展開した。
 さらに、本件建物の現地見分を行うなどした結果、調停委員会は、本件建物の構造上の安全性に問題はないと判断した。
 これに対し施主側は、調停委員会の判断を不服として、大学教授による建物の振動実験を実施し、本件建物の構造安全性の問題点について立証しようとした。
 しかし、振動実験の結果からも、本件建物の構造安全性には何ら問題ないとの結論となった。
 こうした審理の結果、施主側より和解金を支払うとの内容で調停手続が進められ、裁判所の施主側への説得もあり、最終的には、施主側より1650万円を支払うことで調停が成立した。

【リフォーム会社が瑕疵担保責任の不存在の確認を求めた債務不存在確認請求事件】第一審勝訴(原告リフォーム会社側代理人)

1.
本件の事案は概ね以下のとおりである。
 リフォーム会社において、屋根等のリフォーム工事を実施したところ、施主より、漏水が生じ天井内の梁等にカビが生じたといった苦情が発生した。そこで、リフォーム会社において放水試験等を実施したが、雨漏りを確認することはできなかった。しかし、その後も施主からの苦情が続いたため、リフォーム会社においてやむを得ず、再施工工事を実施し、さらにはサービス工事(樋の補修等)も行うなどした。
 この時点で、リフォーム会社は、今後の無用なトラブルを避けるべく、施主との間で、今後、瑕疵担保責任を問わない旨の合意書を取り交わすとともに、同合意書を取り交わす条件として施主が要望した、階段上の天井板の貼り替え、東側縦樋の設置を無償で行うこと、を同合意書に附記した。
 しかし、その後も施主からの雨漏りの苦情が続いたため、リフォーム会社より瑕疵担保責任は存在しないことの確認を求めて本訴を提起したものである。
2.
裁判所は、.螢侫ーム会社の工事には問題がないこと、施主が主張する雨漏り等が発生している事実は認められないこと、を理由として、瑕疵の存在を否定するとともに、⊂綉合意書についても、施主が内容を理解した上で署名押印していること、上記合意書記載の無償工事については、同工事が本件合意の条件であるとしても、施主において他業者に同工事を依頼し施工させていることから、民法130条により条件は成就したものとみなされ、本件合意の効力に影響を与えないこと、を認定して、リフォーム会社と施主との間には、瑕疵担保責任に基づく債務が存在しない旨判示し、リフォーム会社の全面勝訴となった。

【建売住宅の売買における買主からの契約解除及び損害賠償請求事件】第一審和解(被告住宅会社側代理人)

1.
 本件は、土地付建物(枠組壁工法)の売買に関し、買主が、〃物の検査済証が取得されておらず、売買契約において交付もなされていないこと、建物の耐火性が欠如していること(石膏ボードの厚さ不足、断熱材の未施工等)、7物の耐震性が欠如していること(告示に適合した構造用合板が使用されていないこと、使用されている釘の種類、釘のピッチが告示の規定と異なること等)などを理由として、売買契約上の債務不履行ないし瑕疵担保責任に基づき、売買契約の解除及びこれに伴う損害賠償請求として約5900万円の支払を求めた事案である。
 当事務所は、訴訟の途中より、売主である住宅会社の代理人に就任したが、この時点において、すでに裁判所の立ち会いによる現地見分も終了しており、その現地見分の際に、釘打ちに告示違反が存在することが確認されていたことから、裁判所は、ある程度買主の主張を認めるとの心証を抱いているという状況であった。
2.
 上記の状況をふまえ、当事務所は代理人就任直後より、仝〆査兢擇量簑蠅函↓建物の施工上の問題(耐火性及び耐震性の欠如の問題)のそれぞれについて、一級建築士の協力を得た上で、反論を行った。
 その結果、使用されている釘の種類が告示の規定と異なる箇所があることは事実であるが、それはごく一部にすぎず、安価な補修により対応ができることを立証することに成功し、裁判所主導により和解の話し合いがなされ、最終的には、買主に対し50万円を支払うことで和解が成立した(なお、本訴訟においては、住宅会社のほか施工会社及び設計者も被告として訴えられていたため、住宅会社の負担部分は実際には25万円であった。)。
        
3.
 本件は、耐力壁の釘打ちという、頻繁に主張される瑕疵が問題となった事案であったが、一級建築士の協力も得た上で、ほとんどの箇所についてはフレーマー(枠組壁工法の施工を専門的に行う業者)による適切な施工がなされていたことを立証できたことで、裁判官と建築家専門委員の心証を覆すことに成功し、結果として請求額の100分の1程度の金額で和解が成立したものであり、実質的には被告住宅会社側の全面勝訴ともいえる結果であった。

【施主からの瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求事件】第一審勝訴、第二審和解(原告ら施主側代理人)

 本件は、隣地の所有者同士であった施主2名が、同じ工務店に木造3階建ての戸建て住宅の施工を依頼したところ、完成した建物に多数の瑕疵が存在したことから、瑕疵担保責任に基づく損害賠償の請求を行った事案である。当事務所は、施主側代理人として訴訟活動を行った。
 審理途中で、建物に用いられていた構造用合板について使用されている釘がメーカー仕様と異なっている、必要な通気層が確保されていない、必要なアンカーボルトが設置されていない、いったん設置したホールダウン金物を納まりの問題から後で切断している、などの瑕疵が新たに発見され、施工会社の杜撰な施工が次々と明らかになった。
 そこで、当方は、重大な構造欠陥が存在する旨を主張し、裁判所が3度にわたり現地見分を行うという異例の対応が取られるという進行の下で審理が行われた。
 その結果、判決では、原告Aについては約1200万円、原告Bについては約1400万円という高額の損害賠償請求が認められた。
 本件については、協力いただいた一級建築士及び施主自身の熱心な調査活動もあり、構造上の欠陥を立証することに成功し、高額の損害賠償請求が認められたものである。
 なお、その後、原告Bは控訴をせず、一審判決が確定し、原告Aについては控訴した結果、高裁では一審判決から若干の増額がなされ、遅延損害金も含め1800万円を施工会社が支払うとの内容で和解が成立した。
      

【木材が割れたら瑕疵であるかが争われた損害賠償請求事件】第一審・第二審勝訴(被告・被控訴人建材業者側代理人)

1.
本件は、木造住宅新築工事において、工事完成後、木材(グリーン材)に割れ、ねじれ、ボルトの弛み等が生じたことにより、施主からのクレームを受けた住宅会社が、大規模な補強工事を実施した上で、木材に瑕疵があったとして、木材を納品した建材業者に対し、同補強工事費用の支払を請求した事案である。
2.
本件において争点となったのは、主に以下の点である。
 )楫鑢攤燹淵哀蝓璽鷓燹砲粒笋譴瑕疵であるか。
◆〃材業者に説明義務違反が存在するか。
3.
 裁判所は以下のとおりに判断し、住宅会社の請求を全面的に棄却した。
 〃材業者作成の見積書には、「GRN」(グリーン材を意味する表記)が多数記載され、住宅会社において同内容を確認して契約がなされている。そして、グリーン材は、乾燥材と比べて安価だが含水率が高く、一般的に木材に生じる干割れ等が生じやすいものの、一般的に使用されている建材であり、構造材としても広く使用されている。
 したがって、グリーン材は構造材として適切であり、本件木材の提供にあたり、瑕疵や債務不履行を認めることはできない。
◆.哀蝓璽鷓爐楼族舛任呂△襪未だ十分に乾燥していない含水率の高い木材であることは建築業界の一般常識であり、木材業者が住宅会社に対してこれらの事実を説明する義務はない。
 また、木材業者は直接契約関係のない施主に対して説明すべき義務はなく、むしろ住宅会社をさしおいて直接施主に説明することは相当ではない。
4.
 その後、住宅会社は控訴を提起したが、控訴審においても第一審と同様の判断がなされ、住宅会社の控訴は全面的に棄却された。住宅会社は上告をせず、本件は、建材業者側の全面勝訴にて終了した。
 なお、本件は、日経ホームビルダー2008年10月号16ページ以下にも掲載されているので、参照されたい。

【木材の保管に関する管理・指導の合意があったことを理由とする建材業者に対する損害賠償請求事件】第一審勝訴(被告建材業者代理人)

1.
 本件は、被告である建材業者から木材(主に欅材)を購入した原告の業者が、その後木材を保管していたところ、木材に多数の割れ・反り等が生じたことから、原告と被告との間には、被告が木材の保管に関し、管理・指導を行う合意が存在したにもかかわらずこれを怠ったことから、木材に多数の割れ・反り等が生じたものであるとして、原告より被告に対し、1000万円を超える損害賠償請求がなされた事案である。
2.
 これに対し、被告は、同合意は存在しないこと(本件においては合意書の書面は存在せず、売買契約書にも同合意に関することは何も記載されていなかった)、木材に割れ・反りが生じるのは木材の性質上当然のことであって、それ自体には何ら問題はないこと等を主張し、原告の主張を全面的に争った。
 その上で、被告は、当事者双方の担当者の証人尋問などにより、上記主張を立証する訴訟活動を展開した。
 その結果、判決により、同合意は存在しないことが認められ、原告の請求は全て棄却となり、被告側の全面勝訴となった。その後、原告からの控訴もなされず、第一審判決は確定した。

【建物建て替え請求の反訴が提起された請負代金請求事件】第一審調停成立(原告工務店側代理人)

1.
 本件は、工務店において、共同住宅兼自宅建物の新築工事を行ったにもかかわらず、施主より、施工が契約内容と異なるなどとして、請負工事残代金及び追加変更工事代金合計約1970万円が支払われなかったことから、工務店において、同金額の支払を求めて提訴した事案である。
 工務店からの請求に対し、施主は、天井高やバルコニーの幅、ダクトの位置等が契約内容と異なる、あるいは、カースペースに設計ミスがあり自動車を駐車させるに際し困難が生じているなどとして、3000万円を超える建物の建て替え相当額の損害賠償を求める反訴請求を提起してきた。
2.
 本件訴訟は、専門家調停委員(建築士)の関与の下、調停手続に付され、施主が主張する瑕疵の内容、追加変更工事の有無等について審理がなされた。
 そうしたところ、調停委員立ち会いによる本件建物の現地確認が実施されることとなったが、現地確認期日直前になって、施主自身が、調停委員及び工務店側立ち会いによる現地確認を拒否したため、現地確認をしないまま、調停委員より瑕疵についての判断がなされることとなった。
 その結果、施主主張の瑕疵のうち、壁クロスに一部ねじれが生じている点、及び天井高の変更に関する工務店の説明義務違反が瑕疵として認められたものの、同瑕疵の修補金額としては数十万円程度であるとの判断となった。
3.
 こうした経緯をふまえ、調停委員より調停成立に向けた説得がなされ、工務店としても、早期の代金回収実現の観点から、施主より約1870万円の支払を受けることで納得し、同金額を施主より支払うこと、施主において反訴請求を全て放棄すること、で調停が成立した。施主側の建て替え相当額の損害賠償請求が認められず、工務店の請求額の約95%を回収することができた事案であり、工務店側の全面勝訴と言える事案であった。

【請負契約における追加変更工事代金請求事件】第一審調停成立(原告住宅会社側代理人)

1.
 本件は、請負契約締結後、多数の追加変更工事が生じたことから、住宅会社より施主に対し追加変更工事代金の支払を請求したところ、施主は本契約どおりの施工をしてもらったにすぎず、追加変更工事はほとんど存在しないとして、同工事代金の支払を拒否したという事案である。
 施主から支払を拒否された住宅会社より当事務所に相談があり、当事務所は、住宅会社の代理人として、施主に対し、追加変更工事代金の支払を求めて提訴した。なお、訴訟における請求金額は、追加変更工事の内容を精査した結果、約1000万円となった。
2.
 本件においては、追加変更工事を行うに際し、事前に施主に対し追加変更工事の見積書を交付せず、追加変更工事承諾書も取得していなかったため、個別の追加変更工事の項目毎に追加変更工事の合意が存在したことを立証することが極めて困難な事案であり、実際、施主側より追加変更工事の大半を否認される訴訟展開となった。
3.
 そこで、当方は、訴訟の進行に際し、個別の追加変更工事の主張・立証活動を行うとともに、契約時の請負金額(住宅会社の標準仕様を基に算出された代金額)と、建築された実際の建物を客観的に見た場合の価値との差額が、追加変更工事代金相当額であるとして、裁判所に現状の建物の施工状況・仕様を確認してもらい、上記差額を算定したもらいたい旨を主張した。
4.
 その後、本件訴訟は、調停手続に付され、建築専門家が調停委員として訴訟に関与することとなった。そして、調停委員も同行の上で、裁判所による現地見分が行われた。
 その結果、調停委員より、本件建物は、契約時の請負金額では到底建築できない建物であること(契約時の仕様を上回る施工がなされていること)、他方で、個別の追加変更工事の合意が存在することの立証は困難であると思われること、という意見が提示され、当事者双方に対し、話し合いによる解決の提案がなされた。
 そして、話し合いが進められた結果、施主より住宅会社に対し、400万円を支払うことで合意し、調停が成立した。

【出来高、瑕疵の存在等が争われた請負代金請求事件】第一審勝訴(原告工務店側代理人)

1.
 本件は、工務店が、工場の新築工事(第1期工事)を行い、これを完成させた後、同工場の増築工事(第2期工事)を着工したところ、施主より、第1期工事の請負代金残金が期限までに支払われなかったため、工務店において、第2期工事の請負契約を解除した上で、第1期工事の請負代金残金及び第2期工事の出来高金額の支払を求めた事案である。
2.
 工務店の請求に対し、施主は、本件請負契約書は、工務店が施主に対し、銀行融資を受けるために必要であると説明し、これを信用した施主が記名押印をしたものであって、契約内容(特に請負金額)を正確に反映したものではないなどと主張するとともに、本件の工事には瑕疵が存在し、工場が使用できなかったなどとして、瑕疵担保責任ないし債務不履行責任に基づき812万7600円の損害賠償を求める反訴を提起してきた。
3.
 裁判所は、本件請負契約書及び見積書記載のとおりに請負契約が締結された旨を認定し、工務店の主張通りの請負代金及び出来高を認めた。他方で、施主の瑕疵の主張については、コンクリートに巣が生じており、鉄骨が一部露出していた等の点についてのみ認め(損害額は70万円弱)、結果として、工務店請求額約1450万円に対して、約1380万円を認容した。工務店請求額の約95%が認容されており、工務店側の全面勝訴と言って良い判決であった。

【下請業者の元請業者に対する請負代金請求事件】第一審調停成立(原告下請業者代理人)

1.
 本件は、ビル工事にあたり、工事の丸投げを請けた下請業者である原告が契約に従って施工を行い、工事を完成させたにもかかわらず、元請業者が請負代金約1170万円の支払をしてこなかったことから、下請業者が請負代金の支払を求めて訴訟を提起した事案である。
 これに対し、被告は、設計上施工が要求されている床下のピットが施工されていないこと等を主張してきたため、本件施工における瑕疵の存否(ピット施工の必要性)が争点となった。
2.
 原告は、下請業者にすぎず、本件施工は、設計監理者とも打ち合わせを重ね、設計監理者の指示に従って施工しただけであったことから、設計監理者であった一級建築士に協力をいただき、設計者の意図としても本件においてピットを施工する考えはなく、かかる事実は図面上も明らかであること、同施工により現実に建物の構造・機能上の問題や完成後のメンテナンス上の問題等が生じることはない旨主張した。
 その後、本件訴訟は、調停手続に付され、建築専門家である調停委員も関与して審理が進められることとなったが、原告は、設計監理者に調停期日に出頭してもらうなどして、上記の設計上の意図等を調停委員に直接説明してもらい、本件の施工に瑕疵がないことの主張・立証活動を展開した。
 そうしたところ、調停委員は、本件の設計図面について、その記載には多少の疑義があるものの、ピットを施工するとは読み取れないとの意見を述べ、被告から原告に対し、相応の金額を支払うことでの解決が促された。
 以上の審理の結果、原告は被告より1000万円の支払を受けるとの内容で調停が成立し、原告の主張はほぼ認められる結果となった。

【リフォーム工事における代金回収事件】交渉成立(リフォーム業者側代理人)

 本件は、リフォーム業者が戸建て住宅のリフォーム工事を行ったところ、施主よりユニットバスの排水不良が生じたとして、工事残代金約500万円の支払を拒絶されたという事案である。リフォーム会社は、原因を調査し、配管洗浄を行うなどの対応を取ったものの、改善が見られなかったことから、配管のやり直し工事を提案したものの、施主がこれに応じなかったことから、当事者間で解決を断念し、当事務所に事件処理の依頼をされた。
 そこで、当事務所はリフォーム会社の代理人として、内容証明郵便を送付し、上記配管のやり直し工事を提案すると共に、これに応じない場合には、排水不良に関する修補請求権を放棄したとみなし、本件工事残代金の支払を求める旨通知した。
 そうしたところ、施主より書面での回答があったことから、施主が求める工事内容に関する説明や請求の内訳を伝える書面のやり取りを何度か行ったところ、最終的には、施主において配管のやり直し工事を求めないこと、工事残代金は全額を支払うこと、という内容で和解が成立した。
 本件は、内容証明郵便の送付とその後の書面のやり取りだけで請求額全額を回収できたものであり、時間・費用を要せずに交渉で解決できたという点で、当方にとって非常に満足のいく結果を得ることができた。

【擁壁沈下に関する損害賠償請求事件】第一審調停成立(原告住宅会社側代理人)

1.
 本件の事案の概要は次のとおりである。
 住宅会社が、土地の造成を施工会社に依頼し、施工会社が擁壁を築造したところ(なお、設計者は別に存在する。)、擁壁が沈下したことから、施工会社が薬液注入による沈下修正工事を実施した。その後、工事が完成し、上記擁壁を含む宅地全体が施工会社から住宅会社に引き渡されたが、この引渡し前に上記擁壁が再度沈下し、さらに公道側に越境していたことが引渡し後に判明した(なお、引渡しにあたり、施工会社からは再沈下・越境に関する説明はなかった。)。
 そこで、住宅会社は、施工会社に対し、擁壁再沈下・越境の修正工事費用相当額の損害賠償の支払を求めて提訴した。
2.
 当方は、本件擁壁の沈下の原因は、地耐力不足の危険性が高い支持地盤において施工会社が無対策で擁壁を施工した点にあること、沈下の修正方法に誤りがあったこと等を主張し、この主張を裏付けるべく、地盤の専門家に協力を頂き、意見書を作成・提出するなどして立証活動を展開した。
 その結果、裁判所は、擁壁の沈下・越境に関する施工会社の責任を概ね認め、その責任割合は、擁壁沈下については住宅会社8:施工会社2、越境については住宅会社5:施工会社5との見解を示した上で、補修工事の方法については住宅会社の主張を採用し、和解案を提示した(施工会社にも一部責任があるとの認定は、設計者にも落ち度があった等の理由による)。
 住宅会社としては、少なくとも擁壁沈下については主張を概ね認められた和解案であったことからこれに応じることとし、その結果、第一審において和解が成立した。
 

【基礎の瑕疵を理由として建物の取壊再築費用相当額の賠償請求がなされた損害賠償請求事件】(被告(被控訴人)施工会社側代理人)第一審一部勝訴、第二審調停に代わる決定

1.
 本件は、建物の構造部分のみを対象とする請負契約において、基礎の施工不良等があるとして、施主から施工会社及びその代表者、設計監理者に対し、瑕疵担保責任及び不法行為を理由とする取壊再築工事費用相当額約2200万円の損害賠償請求がなされた案件である。
2.
 本件における施主の具体的な主張は、基礎底盤の厚さ・フーチングの幅不足、捨てコンクリートの不存在、基礎鉄筋のかぶり厚さ不足、基礎の一体性の欠如、基礎パッキンの設置数不足といったものであった。
 これに対し、施工会社側は、一級建築士の協力を得て、施主の主張する事実は存在しないこと、仮にそうした事実が存在するとしても構造的な問題はなく、瑕疵には該当しないこと等を主張した。
 その結果、第一審裁判所は、基礎底盤の一部に厚さ不足が存在すること、基礎鉄筋の一部にかぶり厚さ不足が存在することは認定したものの、施工会社側の一級建築士の意見に従い構造耐力的な問題や耐久性能の問題はないとし、その補修としては、平成17年国土交通省告示第566号が規定するコンクリート増し打ちで足りると判断した。
 また、基礎パッキンの設置数不足についても、第一審裁判所は、瑕疵であると認定したものの、その補修方法としては、現状において不足分を追加設置することで足りると判断した。
 以上をふまえ、第一審裁判所が判決によって認定した損害額は、約100万円に留まった。
3.
 その後、施主は、第一審裁判所の判決を不服として控訴したところ、第二審裁判所においては、第一審裁判所の判断を前提としつつ、補修費用については多少の増額をし、約220万円の損害を認める調停に代わる決定を行い、両当事者共にこの決定を争わなかったことから、これにより訴訟は終了した。
4.
 本件においては、基礎の施工に瑕疵があるとの認定はなされたものの、構造的な問題等はないとして施主が主張するような建物の取壊再築は認められず、簡易な補修で足りるとの判断がなされた。したがって、結果としては、上記のとおり、ほぼ施工会社側の主張が認められる結論となった。

【専任媒介契約書が存在しなかった場合における媒介報酬金請求事件】第一審勝訴(原告不動産会社代理人)

1.
 本件は、マンション売買契約において、不動産会社である原告が買主側の媒介業者として媒介業務を行い、売買契約が成立したにもかかわらず、買主である被告が媒介報酬金の支払を拒否したため、不動産会社が買主に対し、媒介報酬金を支払うよう求めた事案である。
2.
 本件においては、不動産会社と買主との間で専任媒介契約書が取り交わされなかったことを前提として、\貲で涓襍戚鵑猟結が認められるか、不動産会社の媒介行為が存在するか、G涓霍坩戮版簀齋戚鸚立との間に因果関係があるか、との点が争点となった。
3.
 裁判所は、本件においては、専任媒介契約書は取り交わされてはいないものの、媒介報酬金についての記載がなされた不動産購入申込書に買主の代理人(買主の甥)が署名捺印し、不動産会社に交付したことで、媒介契約が成立したと認定し、不動産会社は、買主代理人を本件建物に案内したり、売買代金の調整を行うなどの媒介行為をしたこと、同媒介行為により本件売買契約が成立したことは明らかであるとして、不動産会社の主張を全面的に認めた。
 なお、不動産購入申込書が変造されたとの買主の主張については、同書面には不自然な形跡は何らうかがわれないこと等を理由として、これを認めなかった。
4.
 宅地建物取引業法第34条の2第1項は、宅地建物取引業者に同条項所定の事項を記載した媒介契約書を作成し、依頼者に対しこれを交付するよう規定しているが、不動産会社は、同条項は、書面の作成及び交付を媒介契約の成立及び有効要件としているわけではないとして、媒介契約が成立していることを主張した。  裁判所は、不動産会社の主張を全面的に認め、媒介契約書が取り交わされなかったとしても、媒介契約が成立することを認めた。

【住宅会社が土地を購入したところ、媒介行為を行ったにもかかわらず売買契約から排除されたと主張する不動産会社から媒介報酬を請求された事件】第一審敗訴、第二審勝訴(被告・控訴人住宅会社側代理人)

1.
 本件は、住宅会社が本物件(土地)を購入したところ、不動産仲介を営む不動産会社が、媒介契約を締結していたにもかかわらず、住宅会社が別の業者と媒介契約を締結し、不動産会社を排除して本物件の売買契約を成立させたとして、民法130条、商法512条等に基づき媒介報酬の支払を求めた訴訟である。
当事務所は、住宅会社側の代理人として、一審の途中(証人尋問実施の直前)より訴訟に関与した。
2.
 一審判決は、住宅会社と不動産会社との間に黙示の媒介契約の成立を認めた上で(本件において媒介契約書は作成・締結されていなかった。)、住宅会社は本物件の購入をいったんは断念しているものの、これによって媒介契約は終了しておらず、本物件の購入が再検討される場合にはその旨を通知すべき信義則上の義務が住宅会社にはあったところ、これを怠り、別の業者と媒介契約を締結したことは不動産会社の報酬請求権の発生を故意に妨げたことになるから、民法130条により報酬の支払義務を免れないと判示し、住宅会社の全面敗訴となった。
3.
 そこで、住宅会社は控訴を提起し、一審判決は不当であるとして不動産会社の主張を全面的に争った。
 控訴審においては、一審の主張を踏襲しつつ、さらに事実関係・法律関係について判例を多数引用するなどして詳細な主張を展開すると共に、不動産に関する専門的知見を有する大学・法科大学院の教授らに協力を求めるなどして訴訟活動を行った。
 その結果、控訴審は、仮に媒介契約が成立していたとしても、その契約は住宅会社が本物件の購入を見送る方針を決定した段階で終了しているから、本件売買契約が不動産会社の媒介によって成立したとは認められず、また、住宅会社が不動産会社を排除した媒介契約を新たに締結して本件売買契約を成立させたとも認められず、さらに、住宅会社が新たに媒介契約を締結して、本件売買契約を成立させたことについて、住宅会社に不法行為となるような違法行為があったとも認めることはできないとして、一審判決を全面的に覆し、不動産会社の請求を棄却し、住宅会社の逆転全面勝訴となった。

【工事車両の通行妨害に対する通行妨害禁止仮処分事件】仮処分決定取得(債権者不動産会社代理人)

1.
本件の事案は次のとおりである。
 債権者である不動産会社は、その所有する土地(以下「本件土地」という。)において建物の新築工事を行っていた。本件土地は建築基準法42条2項道路(以下「本件道路」という。)に隣接しており、公道から本件土地に車輌で至るには、本件道路を使用するほかなかった。
 ところが、本件道路の一部は本件土地の隣地所有者の所有地であったところ、この隣地所有者が、本件道路を構成する自己の土地上に自己の所有する車輌を駐車していたほか、植木鉢やカラーコーンを設置して、工事車輌の通行を妨害した。
 そこで、債権者は、本件道路の通行妨害の禁止を求める仮処分を申し立てたものである。
2.
債権者は、本件道路以外に工事車輌が通行できる道路はなく、本件道路を通行する必要があること、本件道路について以前より車両通行がなされていたこと、物理的にも本件道路を車輌にて通行することは可能であること、等を指摘し、債権者による本件道路の通行は日常生活上不可欠であることを主張した。
 その結果、債権者の主張が認められ、裁判所は、本件道路の通行を妨害する物の撤去等を認める決定をした。

【化学物質過敏症に罹患したことを理由とする損害賠償請求事件】第一審一部勝訴、第二審和解(原告ら代理人)

1.
 本件は、マンションにおいて多数の猫(多いときには50匹程度であったと推測される)を飼育していた被告らが、消臭・消毒のためにクレゾールその他の薬品を散布したことにより、被告ら居室の直下の原告が化学物質過敏症に罹患したとして、治療費、慰謝料等の損害賠償を請求した事案である。
 被告らは、クレゾールを一度だけ使用したことは認めたものの、クレゾールを100倍程度に薄めて雑巾でベランダ等を拭いただけであると主張し、また、クレゾールを一度使用した後の薬品散布については行っていないと主張し、原告の主張を争った。
2.
化学物質過敏症に関する事件においては、化学物質過敏症発症と原因行為(原因物質)との因果関係、原因行為についての過失(予見可能性)の有無、が争点となることが多い。ところが、本件については、被告らはクレゾールを人体に害を及ぼさないよう100倍程度に希釈して使用し、それ以外の人体に有害な薬品を使用したことはない旨主張したため、原因行為そのものが存在するか否かが問題となった。
 原告は、原告居室内及びベランダにて空気質測定を行い、防虫剤に使用される化学物質が検出されたことを立証するとともに、近隣住人に協力を依頼し、被告らが薬品を散布していた事実に関する陳述書を提出するなどして、立証を試みた(被告らが薬品を散布した状況を確認できるような客観的な証拠(写真等)は入手することができなかった)。
3.
裁判所は、クレゾール以外の薬品散布がなされた事実については認めなかったものの、クレゾールを使用するにあたり、被告らは目分量で希釈を行ったにすぎず、かかる使用方法が、クレゾールを使用するに当たって「人体にとって十分に安全な程度にまで適切な希釈を施すことはもちろん、散布の場所、方法、量等を含めて必要かつ十分な注意を尽くす義務」に違反として、被告らに対し、クレゾール散布に関連した治療費等の損害を賠償するよう命じた。
 これに対し、被告らが控訴を提起したが、控訴審においては、控訴人ら(第一審被告ら)において、上記治療費等の一部を支払うことを内容とする和解が成立した。

【名誉毀損に基づく損害賠償請求事件】第一審和解(原告住宅会社側代理人)

1.
 本件は、住宅会社についての批評を行っている書籍において、住宅会社を誹謗中傷するような見出しとともに、住宅会社の施工について事実と異なる内容が記載されたことから、住宅会社が、会社の信用が毀損され、売上高が減少したとして、同書籍の出版社及び著者(一級建築士)を被告として、同書籍の出版等の差し止め、謝罪文の掲載、営業損害・無形損害等の賠償を求めた事案である。
2.
 本件においては、書籍に事実と異なる記載がなされているか、異なる記載がなされているとしてこれが名誉毀損に当たるか、が争点となったが、住宅会社提出の書証及び著者に対する証人尋問において、事実と異なる内容が本件書籍に記載されていることが明らかになったこともあり、原告の主張が概ね受け入れられる形で和解が成立した。
 和解の主な内容は、以下のとおりである。
  ―佝納匍擇喘者の謝罪文言
 ◆)楫鐔饑劼僚于拂篁漾∈澹砲稜儡処分、再販の禁止
  市場に存在する本件書籍の回収義務(努力義務)
3.
 出版社が書籍の出荷停止等の対応を取ることは異例であり、実質的には、住宅会社側勝訴と言える和解であった。

【債権譲渡と債権仮差押えの優劣が問題となった取立債権請求事件】第一審勝訴(被告施主側代理人)

1.
本件の事案はやや複雑であるが、概ね以下のとおりである。
 〜奮娃措劼六楴脾戞僻鏐陝砲箸隆屬如∨楫鏃物の新築工事請負契約を締結した(なお、同請負契約に基づくYに対する債権を以下「本件請負代金債権」という)。
◆。措劼倭奮娃村劼箸隆屬如以下の内容で、本件請負代金債権を譲渡する旨合意し(以下「本件譲渡合意」という)、Yは同債権譲渡につき確定日付のある承諾をした。
 (1)譲渡債権の債権額は、1820万円とする。
 (2)A社は、(1)の債権につき、上棟時に530万円を、本件建物引渡時に580万円をそれぞれ譲渡する。
 (3)本件建物建築途中で出来高差額(工事出来高とYの既払金との差額)が生じているとき、A社は、前記(1)の債権譲渡額の範囲内で、同出来高工事差額の請求権をB社に譲渡する。
 本件建物の上棟工事が完了した。
ぁ。措劼硲戮亘楫鐇蘇薹戚鵑魄焚爾瞭睛討嚢膂娉鮟した。
 (1)本件建物の出来高を1200万円とする。
 (2)A社は、YがA社に対し、請負代金として780万円を支払ったことを認める。
 (3)本件譲渡合意に基づき、A社はB社に対し、(1)と(2)との差額である420万円を支払う。
ァ。悄文狭陝砲蓮■措劼紡个掘∪蘇藕事代金債権を有していたところ(X社より同債権の支払請求訴訟が提起され、A社において認諾)、Xは、同請負代金債権を被保全権利として本件請負代金債権の仮差押えをした。
Α。悗蓮↓イ稜諾調書を債務名義として、本件請負代金債権を差し押さえた。
А。悗Yに対し、Δ虜慌,┐亡陲鼎、代金支払請求訴訟を提起した。
2.
 本件の争点は、AB間の債権譲渡の効力をXに対抗しうるか、との点にあり、具体的には、本件譲渡合意を債権譲渡予約ないし停止条件付債権譲渡契約にすぎないと見るか、債権譲渡そのものと見るか、が中心的な争点となった。
3.
裁判所は、以下のように判断して、Xの請求を棄却しており、施主側の全面勝訴となった。
 本件譲渡合意に際し作成された合意書その他の書類には予約完結権に関する約定がなく、本件譲渡合意は債権譲渡の本契約と認められる。
 また、「上棟時に530万円を、本件建物引渡時に580万円をそれぞれ譲渡する」(上記◆複押法砲箸量鹹蠅砲弔い討蓮駛楫鐓渡合意時に作成された合意書には、本件請負代金の支払について停止条件を付する旨明記した条項がないこと、鮴蘇薹戚鵑砲いて、仕事の完成に対する対価支払を将来発生することが不確実な停止条件にかからせることは請負契約当事者の合理的意思という点から特段の事情がない限り想定しがたいが、本件においてかかる特段の事情は認められないこと、鷽恵杞事請負契約においては、上棟・建物完成に至ることは将来において発生することが確実な事実と考えられること、などからすれば、本件譲渡合意における上棟時または引渡時とは、条件ではなく不確定期限とみるのが相当である。
 以上から、本件譲渡合意の法的性格は、不確定期限が付された債権譲渡契約とみるべきであり、本件請負代金債権は同契約締結時に全額がB社に移転したことになる。そして、債権譲渡につき、Yは確定日付ある承諾をしており、同承諾は、Xによる債権仮差押えに優先するから、Yは上記承諾をもってXに対抗しうることとなる。よって、XはYに対し、仮差押え及び本差押えに基づく金員を請求し得ない。

【遺贈がなされたとの理由に基づく所有権移転登記請求事件】第一審和解(被告相続人側代理人)

1.
 本件は、原告である相続人が、被相続人が作成した原告に全ての財産(不動産)を相続させる旨の遺言の存在を根拠として、被告である他の相続人に対し、当該不動産の所有権移転登記を請求してきたのに対し、被告相続人が、遺留分減殺請求権を行使し、同請求を争ったという事案である。
 本件遺言書には、被告相続人に対し、生前贈与をしていたことを理由として、被告相続人の遺留分を否定する旨の記載がなされていたことから、遺言書記載の生前贈与の事実の存否が争点となった。
2.
 被告相続人は、遺言書記載の各生前贈与が存在しないことについて、詳細な事実経過や当時の状況を準備書面・陳述書等にて説明すると共に、原告相続人の生前贈与に関する主張が何ら具体的な根拠に基づくものではないことを指摘して、原告相続人の主張を争った。
 その上で、被告相続人は、本人尋問及び証人尋問により、各生前贈与が存在しないことについての立証を行った。
 その結果、裁判所は、被告相続人が主張するとおり、遺言書記載の各生前贈与は存在しないであろうとの心証を有している旨両当事者に述べ、原告相続人より被告相続人に対し、遺留分相当額の金銭を支払い、他方で当該不動産の所有権は原告相続人に移転させるとの内容で、和解をするよう勧告した。
 最終的には、裁判所の和解勧告に両当事者が応じることとし、原告相続人から被告相続人に対し、遺留分相当額の金銭を支払うという被告相続人の主張が全面的に認められた内容で、和解が成立した。

【動産売買先取特権の物上代位に基づく債権差押え】

1.
 本件は、債権者であるA社が建築資材の売買を行ったところ、取引先であるB社の資金繰りが悪化し、売買代金を回収できない状況となったことから、当該売買の目的物の転売先であるC社に対するB社の当該売買代金債権について、動産売買先取特権の物上代位に基づき差し押さえた案件である。
2.
 本件においては、当初、債権差押えの申立てを行った時点では、B社について破産開始決定はなされていなかったが、同申立て後、債権差押え命令の発令前にB社について破産開始決定がなされたため、急きょ債務者をB社からB社の破産管財人に切り替え、再度申立てを提起する事態となったが、最終的には債権差押え命令を取得し、第三債務者より代金を回収することができた。
 動産売買先取特権は別除権であるため、取引先が破産した場合であっても、破産手続外で行使することのできる権利であり、動産売買先取特権の物上代位に基づく債権差押えは、債権回収の一手段として有用な手続と言える。

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