事業再生・倒産
否認権行使訴訟等への対応

破産管財人による否認権行使訴訟事件

住宅フランチャイザーが、フランチャイジーの経営不振に基づき(フランチャイザーに対しても数千万円という多額の負債あり)、フランチャイジーの破産申立約2ヶ月前に、当該フランチャイジーに、施主からの請負代金を入金させることなどを目的とする専用口座を開設させ、同口座をフランチャイザーが管理することにより、各工事現場の邸毎に入出金を管理して各現場毎に利益が上がるような体制を構築し、フランチャイジーの経営を建て直そうとしたが、その後、当該フランチャイジーが破産を申立てたことから、専用口座内の預かり金とフランチャイジーに対する債権とを相殺処理した。また、フランチャイジーの破産申立直前に、工事途中の物件をフランチャイザーにおいて引き受けることを目的に、当該物件の請負代金債権を譲り受けていた。同各行為に関し、破産管財人から、専用口座を開設させ、それを預かる行為などが、抜け駆け的かつ優先的に自らの債権の保全を図ったものとして否認権を行使された事案(専用口座に入金され相殺処理した2573万0591円分、及び破産申立直前の時期にフランチャイジーから譲渡を受けていた債権2420万円分の支払を請求)。フランチャイザー側の被告訴訟代理人として関与した。 同訴訟では、建築業界における一般的な資金管理の方法、当該住宅フランチャイズシステムにおいてはフランチャイザーがフランチャイジーの財務状況を詳細に把握することは不可能であること等を具体的に主張、立証し、フランチャイジーの元従業員等からも事情を聴取した上で、フランチャイジーの業務の実情、フランチャイザーの経営への関与の態様を明らかにすべく、証言台に立っていただいた。 裁判所は、直前の債権譲渡分2420万円の一部については、破産管財人の請求を認め、その余は棄却、専用口座の入金部分である2573万0591円については、フランチャイザー側の主張を認め全て請求を棄却した。 昨今の経済情勢のもと、建築業界では倒産・再生案件が多く、破産申立直前の行為が否認権の対象となるケースは多い。破産管財人等との交渉、否認権訴訟の当事務所取扱い件数は増加傾向にある。