資源エネルギー
発電事業/住宅用太陽光発電に関する各種紛争解決

太陽光発電事業の事業用地の敷地権利紛争

 再生可能エネルギーの固定買取制度の運用が始まった当初,その単価設定の高さから,様々な業種から太陽光発電事業への参入がありました。
 住宅業界も,施工した建物の屋根に設置することで,メリットを享受することができる場面が多くなり,また、不動産取引を合わせて行っているハウスメーカー・工務店も多く存在していたため,太陽光発電事業に参入した会社が数多くありました。
 当職が処理をしたこの案件は、山の中の広大な敷地に太陽光発電を設置しており,固定買取制度の恩恵から,毎月,数千万円を超える売電収入を得ている,という太陽光発電設備があったのですが,そこの当初における敷地利用権の設定に曖昧な点があり,借地権の登記もできていなかった,という事案でした。
 太陽光発電事業を始めて数年は、そのような状況でも特に問題は生じていなかったのですが,あるとき,土地所有者の名義が変更され、同土地所有者の代理人と名乗る人権推進国民会議と名乗る団体が依頼者の事務所に押しかけてくるようになりました。彼らは、現在、土地には、何らの敷地利用権も設定されておらず、こちらによる太陽光発電設備の設置は不法占拠に当たる、本来であれば、土地明渡請求訴訟を提起して、撤去を求めるところであるが、太陽光発電事業における売電利益の半分を寄越せ、との不当要求をしてくるようになりました。
 依頼者は、堅気には見えない人物らが事務所に押しかけてきて、毎日のように、このような不当要求を繰り返すため、すぐに、当職に相談があったため、速やかに受任通知を行い、代理人対応を開始しました。
 その後、先方も弁護士を立て、弁護士間協議にうつったのですが、この弁護士も、依頼者の意向を一方的に伝えてくるだけの弁護士で、最終的には、山奥の土地を「9億」で買い取れ、等と平気で主張してくる始末でした。
 そこで、当職は、弁護士間協議も諦め、簡易裁判所に民事調停の申し立てを行い、裁判所からの説得も含めて、適切な事案の解決を図ろうとしました。
 ところが、この案件は、その後、土地所有者が、元の地主に土地の売却をしたことで、再び動き出し、そこで、これまでと比べると、比較的ましな仲介業者が介在するようになったことから、常識的な協議を行うことができるようになり、最終的には、当方にても納得できる金額で、土地を取得することができるようになり、無事、敷地利用権をめぐる紛争は解決となりました。