住宅・建築
瑕疵担保責任

報道によって、賃貸用物件の入居予定者から契約締結を拒まれたとして、施主から施工業者に対し、逸失利益等を請求された事案

概要:本事案は、施工業者に建築の注文をした施主が、建築した建物の1階部分を賃貸しようとしたところ、施工業者の施工した建物(訴訟で問題となった建物とは無関係の建物)に耐火性能が不測しているものがあるとの報道がされたために、本件建物の賃借を申し込んだ者からその申込を撤回されたことを理由に、不法行為に基づき逸失賃料等について損害賠償請求訴訟を提起された事案である。
 
論点:施工業者の不法行為の成否
結論:施工業者の施工した物件の一部に耐火性能が不足しているものがあるとの報道がなされたことは当事者間に争いがなく、争点は、風評被害類似の損害が施主に生じているか否かとなった。
 当方は、①本件建物自体については瑕疵がない以上、本件建物と無関係の建築物について、違反行為を行い、その結果報道がなされたとしても、原告との関係では違法行為を何ら構成しない、②賃借人が申込を撤回したのは、賃借人独自の極めて特異な心理状態に起因するものであって、本件建物について違法建築物であるという風評は生じていない、③相当因果関係がない等の主張をしたところ、裁判所は、当方の主張を全面的に採用した。
 準耐火建築物に関し、多くの物件・企業が報道対象となったことについては記憶に新しいところである。しかし、ある事業者が報道されたという事実のみをもって、当該事業者が建築した瑕疵のない建物に関してまで、逸失利益等を請求することは許されない。