住宅・建築
瑕疵担保責任・契約不適合責任

フラット35適用物件における外壁通気工法未対応物件

 フラット35を利用することを前提とした新築工事請負契約において、当初、乾式の外壁とする予定だったものが、湿式の外壁に変更された際、請負業者Xにて、外壁通気工法に対応しなければならないことを失念し、建物を完成させ、引き渡したところ、施主Yが、調査会社を入れたことによって、外壁通気工法に対応していないことが判明し、そのやり替え等を求められた事案になります。
 この案件では、その他にも、メーターモジュールで設計されていたにも関わらず、現場に納品されていたグラスウールの断熱材が尺モジュールのものであり、壁内の断熱材に、両脇に45mmずつの隙間が発生している等の瑕疵の指摘もなされており、内側も外側も解体した上での補修を求められていたため、その損害賠償額は、1200万円を超える瑕疵修補費用となっていました。
 本件の争点は、指摘されている瑕疵の修補方法に集約される形となり、相手方が、内側も外側も壁を解体した上での補修を主張してきたのに対して、こちらは、外壁のやり直しをするのであれば、外壁側を解体した際に、設置していた壁内のグラスウールを撤去することが可能で、そこにできた空洞部分については、吹付のウレタンフォームを施工することによって、当初予定していた断熱性能を満たすことが可能で、この場合には、内壁側に関する工事費用が一切かからない、との反論を行いました。
 支部の案件でしたが、裁判所は、調停に付した上で、本庁から一級建築士の調停委員を派遣させ、同調停委員の関与のもとでの審理が続けられました。そして、最終的には、補修方法の検討に際して、調停委員も、当方の主張した工法が現実的に採用可能であり、かつ、施工費用も下げることが可能であることの意見を示したため、最終的には、そのことを内容とした和解をすることができました。
 フラット35を利用する場合や、ほとんどの工務店が利用している、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づき設立されている住宅瑕疵担保責任保険法人が提供する瑕疵保険に加入する場合、それぞれ、遵守すべき施工基準が示されていますが、その存在自体に気が付いていない工務店が、未だ多く存在します。しかし、これらの施工基準が、瑕疵ないし契約不適合責任の前提となる「あるべき状態」を示すとの立論で、責任追及をなされるケースが多く存在するため、少なくとも、そこに示されている施工基準を上回る内容の施工をしていくように、心掛けたいところです。

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