井上 雅之
弁護士
パートナー東京事務所
施主である原告が、❶施工者、❷設計・監理者に対し、床暖房施工部分について、構造用合板が施工されていない、ロフト入口が危険な設置状況にある等の瑕疵を主張した事案につき、当方は❷設計・監理者の代理人として対応した。
本件では、設計・監理者は、あくまでも施工者から委託を受けて対応しており、施主である原告とは直接契約を締結していなかったことから、設計・監理者が「契約責任」を負うのか「不法行為責任」を負うのか、という法律論上の争点がまず問題となった。
裁判所は、本件建物の設計監理契約は、被告❷と被告❶との間で締結したものと認められ、被告❷が原告に対して債務不履行責任ないし不法行為責任を負うものとは認められないという心証を開示し、最終的に、設計・監理者の負担額をゼロ円とする和解内容にて終結した。
また、瑕疵論に関し、床暖房施工部分の構造用合板については、設計監理者が現場を確認した時点では施工されていたものの、後に施主と施工者との間で、床暖房設置の合意をしたようであり、設計監理者の関与しないところで追加施工がされている状態であった。
さらに、ロフト位置については、法令上何らの問題もないことから、裁判所は瑕疵に該当するとは認められないとの心証を開示した。
負担額ゼロの和解案が裁判所から提示されることは珍しく、当方の主張が肯定された事案と理解している。
本件を担当した弁護士