不動産取引
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事業者たる賃借人が、賃貸ビルのオーナー及び賃貸借契約の仲介業者に対し、更新料及び更新事務手数料の返還請求をした事案

賃貸ビルを賃借していた事業者たる賃借人は、同賃貸ビルのオーナー及び賃貸借契約の仲介業者に対し、更新料及び更新事務手数料を請求した事案。オーナー及び仲介業者の代理人として訴訟を追行した。
 賃借人は、更新料及び更新手数料の支払は何らの法的根拠もないし、同支払いが民法第90条、借地借家法第30条及び消費者契約法第10条により無効である等と主張した。
 これに対し、オーナー及び仲介業者は、更新料及び更新手数料の支払は、賃貸借契約書及び更新契約書に明確に記載されているため、同支払が当事者間の合意との明確な根拠に基づくものであり、同更新料及び更新手数料を支払う旨の合意が民法第90条及び借地借家法の規定により無効となることを基礎付ける事実は一切存在せず、かつ、賃借人が自らの事業を実施するために賃貸借契約を締結している以上、そもそも賃借人は消費者ではないから消費者契約法は適用されないと主張した。
 裁判所は第一審の判決において、オーナー及び仲介業者側の主張を全面的に認めた上で、更新料及び更新手数料の支払いは当事者間の合意に基づくものであって、同合意に基づく金員の授受に反社会的側面はうかがえず、借地借家法第3章第1節の各条文が更新料及び更新手数料の支払いを禁止しているともいえない上に、同合意に基づく金員の授受が消費者契約法第10条の定める消費者(賃借人)の利益を一方的に害するとは認められないとして、賃借人の請求を棄却した(なお、同判決は、賃借人が消費者契約法第2条1項にいう消費者に該当すること自体疑問であるとしている。)。
 第一審判決に対し、賃借人は控訴を提起したが、控訴審判決は、更新料及び更新手数料の支払いは当事者間の合意という明確な法的根拠に基づくものである、同合意が民法第90条に違反するとみる余地はない、同合意が借地借家法による建物賃貸借の存続保証の趣旨に反した賃借人に不利なものとみることはできない、賃借人が消費者契約法の規定する消費者に該当すると認めることはできないとして、賃借人の控訴を棄却した。

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