住宅・建築
工事請負契約

下請建設会社の破産管財人が,元請建設会社に対して,出来高請求をした訴訟事件

 元請負会社が,オープン日が決定している店舗建築の依頼を受け,下請会社に責任施工で発注をした。しかし,下請会社の資産状態は悪く,同社は,人員を手配できない,ミス工事などを続けた挙げ句に,現場を撤退し,破産申立を行った。破産後,当該下請会社には裁判所より破産管財人が選任され,元請会社に対して,2500万円余の出来高請求をしたのが,本件であり,被告元請会社側の訴訟代理人として訴訟手続を行った。
 建築工事請負契約では,注文者側の一方的な解除であろうと,債務不履行解除であろうと,「工事内容が可分であり、しかも、当事者が既施工部分の給付に関し、利益を有するとき」(最高裁判所昭和56年2月17日判決参照)であれば,請負人は注文者に対して出来高請求をすることができる。元請会社としては,工事ミスや途中で撤退した下請会社に対しては一円も支払たくないと思うのが通常であろうが,法律論としては,そうであるからといって,「途中部分を無償で取得する」ことを正当化することはできない。
 そこで,上記訴訟では,出来高の一項目一項目毎に,①当方手配工事の特定,②当該工事の相当な工事金額の特定を行うとともに,③自社人員の経費増大分,ミス工事の是正工事費用等を丁寧に金額換算して,積み上げ,出来高金額の否認,相殺の主張等を行って反論を展開した。
 結果,破産管財人との間で協議を行い,請求金額の28%程度の金額である700万円で和解をすることで合意ができた。当方の主張が相当程度通った中での和解であり,実質勝訴的和解である。 

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