吉川 幹司
弁護士
パートナー東京事務所
工事途中において、施主が一方的に請負契約を解除したため、業者は、施主に対して、解除時までの出来高及び同解除に伴い被った損害である逸失利益の請求を行った事案。業者の代理人として訴訟を追行した。
業者は、出来高一覧表を作成した上で、同出来高が相当であることを基礎付けるため、見積書、施工写真等を提出した。
これに対して、施主は、業者の施工箇所には多数の不具合が存在しているので、業者が請求している出来高は認められない上に、業者は、施主の要望を受け入れずに工事を進めていたため請負契約を解除せざるを得なかったと主張した。
そこで、業者は、工事途中において、施主より膨大な追加・変更工事の要望を受けたが、同要望に対しては、極めて誠実に対応していたことを具体的に反論した。
また、施主の工事の不具合の主張は、施主が依頼した協力建築士の見解に基づくものであったことから、同建築士の証人尋問を行った際に、業者は、同建築士に対して質問を行うことで、同建築士が主張する不具合は、全て、同建築士の個人的見解であるにすぎず、一般的な見解ではないことを認めさせた。
その結果、業者の請求する出来高及び逸失利益の全額を認める内容の判決が下された。
なお、裁判所は、「本件契約に基づく工事を完成させられなかった以上、何らかの逸失利益が発生していることは当然であり、その程度につき代金額の17パーセントと見積もることに特段不自然さはない」として、請負契約代金総額の17%分の逸失利益相当額の損害賠償請求が認められると判示している。
本件を担当した弁護士