不動産取引
宅建業法等に基づく行政対応

工事の仕様確定を求める調停事件

請負契約締結後、施主より、建築確認申請をやり直さなければならないほど根本的な追加変更要望が相次いた事案につき、仕様確定を求めて調停を申し立てた。
 当初、施工業者は、契約解除を要望していたものの、本件では、施主に債務不履行がなく、また、約款上、施工業者からの解除を認めるべき事由にも該当すべきものがなく、法的に解除事由を構成することは困難であった。そこで、仕様確定を求めつつ、確定できない場合には、合意による解除を念頭に調停手続に臨んだ。
 大量の打合せメモや作成した図面を提出し、追加変更要望の状況を詳細に説明するとともに、契約の続行が困難であることを調停委員に強く訴え、最終的には、出来高全額の精算及び請負契約の解除という、当方の主張が全面的に肯定される形で調停が成立した。
 請負業者側から契約を解除するのは困難であり、債務不履行とまでは言えないが、契約継続が難しいと思われる顧客との間では、合意解除を求めて調停を申し立てるのも一つの方策であり、調停事案ではあるが参考になるため掲載することとする。