設計
設計関係争訟

設計報酬に関する争訟

予算オーバーの設計リスク 裁判例③

 ご紹介した2つの裁判例では設計者が勝訴していますが、両者とも50年近く前のものです。予算オーバーでも適切な設計であるといえるかは、近時の裁判例と比較して熟慮する必要があります。
 平成17年の事件では、予算上限が3900万円だったのに対し、当初の見積額が9000万円、減額がされて4926万円となりました。最終的な超過割合は1.26倍でしたが、設計者側が敗訴しました。見積額が予算額の2倍以上となっており、著しく乖離しているため抜本的な設計変更の必要があったにもかかわらず、これをしなかったとして設計の瑕疵が認めらており、裁判所は、設計変更の内容・実質を細かく見て判断していると言えます。
 予算に合わせるために抜本的な設計変更が必要な場合には、単に減額すればよいわけではないことに注意が必要です。