設計
設計関係争訟

告示15号に基づく設計料を請求した事案

概要:本件は、設計契約の委託者(原告)が設計者(被告)に対し、主位的に被告の設計・管理契約に基づき債務不履行を理由とする解除に基づく原状回復請求、予備的に同契約の取消し・錯誤無効を理由とする不当利得返還請求として既払金等の返還を求めた事案である。
 本事案では、原告が被告に対して提示した資料に誤りがあったため、被告において設計業務を結果的に2回実施しているところ、2回目の設計契約については、明確に契約書等を取り交わしていない状況であった。
 そこで、当方は、設計者(被告)側の代理人として就任し、第1回目の設計契約に関し、設計契約に基づく残報酬請求を、第2回目の設計契約に関し、商法512条に基づく報酬請求の支払を求める反訴を提起した。
 
論点:①被告の債務不履行の有無
   ②被告の報酬請求権について
結論:論点①に関し、当方は、それまでに作成された膨大な資料を全て証拠として提出し、設計業務が全て終了していることを強調して主張したところ、裁判所は、当方の主張を容れ、第1回目及び第2回目とも設計業務は完了していると認定した。その上で、結果的に第2回目の設計業務が必要になったのは、原告の提示した資料に誤りがあったことを認定し、被告の設計業務に債務不履行はないと判断した。
 次に、論点②に関し、債務不履行がない以上、第1回目の設計契約に基づく残報酬請求は認められるとした。
 第2回目の設計契約に基づく報酬請求に関し、当方は、告示第15号をもとに報酬金額を算定し、主張していたところ、裁判所は、同告示の適用を明示してはいないものの、当方が算定した全額について「本件第2回確認申請業務の相当報酬額は被告が主張する額を下らない」と認定した。
 なお、同判決は、高裁においても維持され、確定した。