不動産取引
近隣関係紛争・境界関係紛争

代表者不在の法人を相手方とする境界確定訴訟

概要:山林の開発許可を受けるに辺り、山林の分筆が必要となったが、隣地所有者が破産終結後清算未結了の法人であり、代表者が不在であることから、境界確認書を締結できず、登記官より境界確定判決がないと分筆は認めないと指示されたため、境界確定訴訟を提起した。
 隣地所有者は代表者不在であるため、特別代理人を選任して訴訟を提起したところ、同特別代理人は、訴訟において、当方の主張する境界線を争うものではないから(なお、境界確定訴訟には自白や請求認諾といった概念がない)、当方には訴えの利益がなく、本訴訟は却下されるべきであると主張した。
論点:当方が主張した境界線につき、相手方が「争わない」との答弁をした場合に、訴えの利益が肯定されるか。
結論:当方は、①特別代理人が境界を争わない旨答弁したとしても、特別代理人は、あくまで訴訟という限度でのみ代理権限を与えられているのみであり、事実上の代理権限はないこと、②判決にて境界が確定されない場合、本件土地は分筆することもできず、土地として利用価値がなくなることを主張し、境界確定の必要性を主張した。
 裁判所は、当方の主張を全面的に採用し、たとえ境界線に争いがなくとも、本訴が特別代理人による訴訟追行であるという特殊性及び分筆の必要性から、訴えの利益を肯定した。

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