不動産取引
近隣関係紛争・境界関係紛争

太陽光発電設備による電波障害

(概要)建築業者が施主邸に設置した太陽光発電設備から生じた電磁波によって、アマチュア無線やテレビに電波妨害を生じさせた場合の法的責任
(アドバイス)現在、太陽光発電設備の電磁波による電波妨害を直接規制する法規は存在していないため、太陽光発電設備の電磁波によって電波妨害が発生したとしても、原則として違法との評価を受けることはないとも考えられる。
もっとも、施主邸の太陽光発電設備の電磁波による他者のアマチュア無線等の電波妨害が、当該他者において社会生活上受忍すべき限度を超えるものと評価される場合には、施主又は建築業者の法的責任が認められる可能性も否定できない。
この点、現在のところ、太陽光発電設備の電磁波による電波妨害に関する裁判例は不見当であり、上記電波妨害に関する法的責任の判断枠組みは確立していないものと考えられる。もっとも、高層建築物による電波障害について違法性を肯定した裁判例(京都地裁平成13年2月8日判決)も存在しており、さらに、日照阻害等の事案において受忍限度に関し判断している裁判例等を参考にすると、太陽光発電設備の電磁波による電波妨害が受忍限度を超えるか否かについては、法的規制の違反の有無、事前対策の可否及びその難易、被害(電波妨害)の程度・内容、従前の交渉経過等を考慮して判断することになると考えられる。

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