不動産取引
売買・仲介

宅建協会・苦情解決申出手続きにおける事情聴取会等への対応(被申出会員側)

事案の内容
:依頼者(宅建業者)が売主となって販売した土地建物につき,敷地の一部が後日公用収用を受けたとして,買主から,依頼者及び媒介業者に対し,全国宅地建物取引業保証協会への苦情解決申出がなされた事案で,認証審査のための事情聴取会に出席し,以降,買主・媒介業者と自主解決に向けた交渉を行い,それぞれ早期に和解を成立させた。

論点
:売主の調査義務の範囲,損害額の算定,媒介業者・売主の責任割合

対応について
:事情聴取会において,事業者に厳しい指摘や誘導的な質問が予測され,また,対応を誤った場合の監督官庁への通報リスク等も考慮し,手続きの初めから代理人として関与した。
 依頼者と共に事情聴取会に出席し,
 ① 事業者が収用範囲を把握していたはずであるとの断定的な質問
 ② 通常は求められていないレベルの調査義務を前提とする質問
 ③ 申出事項と関連しない細かな重要事項説明書の記載の不備の指摘
等がなされた場合は,適宜介入し,各委員に対し,事実関係の正確な把握を求めた。また,聴取会の途中,委員が激高し,依頼者に詰め寄って質問を継続したため,冷静な対応を促し,混乱を沈静化させた。

その後,自主解決に向けた交渉の際,一定の責任は認めつつ,慰謝料及び多額の損害賠償等の請求に対しては,裁判例の調査等に基づき,相当と考える和解金額を提示・交渉し,認証審査への移行前に自主解決を実現した。その後,媒介業者の代理人と交渉し,買主に支払った和解金の一部を媒介業者が負担し,求償関係を清算するとの内容で,こちらも和解を成立させた。

対応に際し留意した点
:買主本人が申出を行っていたこと,買主の請求額と当方が適性と考える損害額にかなりの開きがあったこと,仮に自主解決が頓挫し認証手続きに移行した場合,事業者に厳しい判断がなされる可能性があること等から,買主との交渉の際,和解案の提示のタイミング・説明の内容及び条項の表現等について,特に慎重を期した。買主は,事情聴取会後に請求額を倍に増額する意思を示していたが,最終的には,当方の提示額での和解成立となった。

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