内田 創
弁護士
パートナー福岡事務所
依頼者のXは,裁判所の競売物件で土地を競落しましたが,調査を行った結果,同土地上に建っている建物のための法定地上権は成立しない,という状況でした。
そこで,Xを代理して,建物の名義人であり,居住しているYを被告として建物収去土地明渡等請求訴訟を提起しましたが,欠席判決で,請求認容判決が確定しました。
ところで,この建物は,比較的築浅の建物であり,実際に,建物収去をするよりは,建物のリフォームをするなりして,土地・建物を販売した方が,収益をあげられそうな物件だったため,できれば,Yから,建物を買い取る交渉をしたかったのですが,裁判にも出頭しない状況でしたので,どのようにして交渉をするべきか,検討しました。
そこで,イレギュラーな方法として,上記判決にて金銭請求の債務名義も取得していたため,動産執行の申立てをして,執行官と共に,建物内に入り,Yと交渉することを目的とした申し立てをしました。
実際,執行官と建物に入ろうとしたところ,玄関は施錠されていたのですが,庭に面した掃き出し窓が開いており,そこから入ろうとしたところ,Yが寝ており,そこで,初めて,Yと話をすることができました。
話を聞いていると,訴状などは受け取っていたが,妻と離婚をしたことで,無気力になっており,郵便物を一切確認していなかった,とのことであり,そもそもの土地の競売の際に入った売得金も受け取っていない状況であることが判明しました。そこまでしてあげる義理は無かったのですが,法務局でするべき手続を教えてあげる等して,信頼関係を築いたところ,建物の明渡しについても,Xにて買い取るという方向での提案に快諾して頂き,無事,引き渡しを受けることができたという事案です。
本件を担当した弁護士