吉川 幹司
弁護士
パートナー東京事務所
木造戸建住宅(本件建物)において、最大で、床に1000分の7程度の傾斜が発生したことから、施主は、本件建物を補修するためには建物を建て替えざるを得ないとして、施工者に対し、当初の請負契約代金を超過する建替費用相当額の損害賠償請求を行った。なお、施主は、本件建物が沈下した理由として、建物基礎に鉄筋が存在しないこと、基礎の形状が不整形であること等を主張していた。本事案において、当方は、施工者側の代理人として訴訟を追行した。
まず、当方は、本件建物の現状の施工状況の確認が必要であると主張した上で、基礎の形状等の確認を実施した。その上で、当方は、現実の基礎の形状を前提として構造計算を実施し、同計算の結果、本件建物の基礎それ自体は、本件建物の荷重を支えるのに十分な強度を保持していることを明らかにした。また、当方は、本件建物建築当時においては無筋のコンクリート基礎の施工も認められていたこと等を説明した上で、本件建物の基礎の施工が、本件建物建築当時の建築基準関連法令上の仕様に合致していると主張した。
その上で、当方は、沈下修正工事の専門業者作成の報告書等を提出の上で、現に発生している建物の沈下は、コンクリート短柱を使用して行うアンダーピーニング工法による補修工事で修正可能であることを明らかにした。
その結果、最終的に、施工者が施主に対し、建替費用ではなく、アンダーピーニング工法による補修工事の費用相当額の解決金を支払うことを内容とする和解が成立した。
本件を担当した弁護士