住宅・建築
瑕疵担保責任・契約不適合責任

確認申請上,工事監理者として名義を貸していた建築士が,基礎立上り部分の高さ不足等の瑕疵を理由として,不法行為責任を追及された事案

 Yは,工事施工業者のZより依頼を受け,Xが発注者となっている注文住宅の工事監理業務を,Zとの間で締結しました。
 ZはXとの間で工事請負契約を締結し,平成25年7月頃までに建物を完成させ,Xは,その頃,建物の引渡しを受けました。
 その後,Zは廃業してしまいましたが,Yは,未だに建築士事務所を開設し,営業していたところ,Xは,当該建物には基礎立上り部分がGLより43㎜程度しか確保されていない等の瑕疵があるとして,不法行為責任に基づく損害賠償請求として,建物の建替相当額の賠償を求める訴訟を提起されました。
 第一審では,複数,主張を受けていた瑕疵のうち,基礎立上り部分の確保不足が最も争われましたが,Yが,監理の過程で残していた写真を十分に活用し,検査済証を取得する直前の時点では,建築基準法で求められる300㎜を確保できていたことを立証し,立上り部分の確保不足は,Xが建物の引渡後に施工した外構工事によって生じたことを主張・立証したところ,裁判所も,同事実を認定し,外構工事は,Yの工事監理の対象外であるとして,不法行為責任の成立を否定し,控訴審でもその判断が維持され,確定しました。

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