有賀 幹夫
弁護士
パートナー東京事務所
業者側の残請負代金請求に対し、施主側より、建物のベタ基礎の厚み不足、基礎立上り部分のクラック等の構造上の瑕疵がある旨の抗弁が出された事案。業者側の原告訴訟代理人として訴訟を追行した。
基礎の厚みの問題に関しては、施工精度の問題もあり、設計図書記載のとおりの厚みを完璧に確保できていない物件が、現実、散見される。本件では150㎜の設計図書上の指示に対し110㎜しか確保できていない部分もあり、また、散水試験の結果、基礎立上り部分のクラックから水が床下内に流入するとの主張が施主側よりなされた。そのため、建築構造の専門家とともに、本件建物では、基礎スラブの厚みが110㎜でも構造耐力上の安全性を確保できていることを構造計算により立証し、また、基礎立上り部分のクラックについては、発生原因を特定した。結果、第一審は構造耐力上の瑕疵はない旨認定し、業者側の請求をほぼ認容した。
施主側が控訴した控訴審においても構造耐力上の安全性は前提とされたため、一定額の値引きを行い、請求金額の全額に近い形で、和解解決を応諾した。
業者側の施工には、設計図書記載の寸法を確保できていない点等があったことから、一定額の値引きは相当な措置であったと考えている。
本件を担当した弁護士