住宅・建築
瑕疵担保責任・契約不適合責任

新築住宅の建築瑕疵に基づく損害賠償が請求された訴訟事件

本事案は,ある住宅フランチャイズに加盟している工務店が,同フランチャイズの規格部材を用い,建築した建物につき,施主から瑕疵を主張され,訴訟を提起された事案である。業者側訴訟代理人として訴訟を追行した(なお,施主は設計監理者に対して調停申立を行い,調停が成立したにもかかわらず,後には設計監理者に対しても訴訟を提起)。
 本事案の特徴は,例えば,断熱材間に若干の隙間は確かにあり,補修した方がよいといえばそのようにもいえる,などという事項が,約30項目程度瑕疵として主張されるとともに,工事中になされた追加変更の清算(当初見積書からの数量が減少しているので,清算せよ,工事後に行われた清算には漏れがあり不当,といった主張)が詳細に争われた点に特徴がある。
 施主側の主張は,極めて細かかったため,約3年間以上,審理され,ようやく証人尋問等が終わった後にも,裁判所が改めて詳細な状況を理解するために,判決期日が6回程度延期されることによってさらに長期化し,結局,判決言渡しまで4年以上の歳月を要した。
 当方は,施主の主張の項目全てに対して,詳細に事実関係,関係技術資料を提出し,全面的に争った。
 例えば,先の断熱材の欠損の例についていえば,熱損失係数,熱貫流率の計算を実施し,施主側が主張している状況を前提としても,有意な差異はほとんど無いといった具合である。
 判決では,瑕疵は一切無く,これ以上の清算も不要という完全勝訴判決が下された。
 建築瑕疵を巡る事案において,瑕疵による損害が1円もないと認定されることは珍しく,長期間,丁寧な訴訟活動を行った成果が実を結んで事案として印象に残っている。

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