井上 雅之
弁護士
パートナー東京事務所
原告(買主)から、床鳴り及びクロスの割れを瑕疵現象として損害賠償請求がなされた事案につき、被告(売主)代理人として担当した事案。
裁判所は、床鳴りについて、「木質系の建材が使用されている建物の床について、乾燥等の影響により、季節に応じて一定の床鳴りが生じることは、材の性質上やむを得ないというべきであり、目的物である建物が通常備えるべき品質・性能を欠くものとはいえない」とし、また、クロスの割れについては、「壁クロスの皺状の変形については美観の問題といわざるを得」ないとし、「通常備えるべき品質・性能を欠くもの、あるいは当事者が予定した品質・性能を欠くものとはいえない」として、原告の請求をいずれも棄却した。
原告は控訴し、代理人を変更して新たな主張を展開したが、高裁は、原判決を維持したほか、床の傾斜に関する買主側の新たな主張について「最大1000分の4にすぎないのであって、上記基準〔注:告示1653号〕に照らし、瑕疵である可能性は低く、かつ、これらの床の傾斜が建物の機能として何らかの支障を来している事実を認めるべき証拠もない」とした。
本件を担当した弁護士